エピローグ 2
僧侶「おや、あちらに見えるのは側近さんでは?」
勇者「あ、ほんとだ。おーい!側近さーん!」
魔法使い「どうどう。身重なんだから落ちつきなさい」
側近「皆様御揃いの御様子。我が王も心待ちにしておられた事でしょう」
侍「先日はどうも。また遊びに来るといい」
側近「二度はご勘弁を。貴女の御技、十分に堪能致しました」
僧侶「ぶっ飛ばしたんですね。終戦の立役者を」
魔法使い「アンタ、侍に何か恨みでもあるわけ?」
側近「立役者などおこがましい。私は、我が王の言伝の通りに行動したまで。全てに終止符を打ったのは、貴女方です」
勇者「…多分、誰もかれも、魔女さんの掌で踊っていただけだと思うよ?」
侍「違いない」
魔法使い「ほら、アンタが大好きだった葡萄酒だよ。たっかいやつにしたんだから、じっくり味わいなさいよ」
僧侶「では私は処女の生き血を」
侍「待て、何でナイフを持って私に近づいてくるんだ」
側近「まあまあ。御戯れもほどほどに願います。しかし、我が王も騒がしい方が喜ぶでしょうが」
僧侶「まあ御遊びはこれくらいにしましょう。我が友、魔女にして魔王に、宣言します。後二年で、私は教皇に上り詰めようと思います。宗教による改革は、あまり好きではありませんが………これも方法の一つ。死の間際、貴女が望んだであろう世界を、私が創りましょう。それで御恩が返せるかはわかりませんが、ね。以上」
魔法使い「今凄い事さらっと言ったよね、この子。ならあたしも。全世界、人間界も魔界も、全ての民は私が指導する。教育を、世界単位で改革してやるわ。アンタが言っていた通り、あたしは天才なんだから、それくらいやるわ。以上」
侍「生涯不敗を誓う。毎年誓っているけど。お師様を超えたと、己で認められるまで、誓い続ける」
勇者「皆、凄いね。―――――姉さん、久しぶり。聞いてくれたかな。皆、姉さんが残した芽を育ててるよ。ボクはちょっと挫けそうになって出遅れちゃった。でも、頑張ってる。姉さんみたいに凄い人に、ならないといけないもんね」
側近「女王で在らせられる方の台詞とは、到底思えませんが」
勇者「皆がいなければ成り立たないよ。……姉さん、ボクは導くよ。皆が笑って過ごせる世界を保つために。産まれて来る子が、幸せに生きられるように。だから、見守っていてください。ボクたちが、挫けないように」
魔法使い「さて、湿っぽいのもこれで終わりにして、ぱーっとやりますか!」
僧侶「酒池肉林ですね、わかっています。ええ、わかっていますとも」
侍「お師様、こいつ、斬ってもいいですか?」
勇者「お腹の子に悪影響だから、刃傷沙汰は勘弁してね」
魔法使い「そういえば、その子の名前決まってるの?」
勇者「当然。名前はね―――――」
高く、高く、吸い込まれそうな青空の下。
あの声を聞いた気がした。
そうだね、その通りだね。
私たちは強く生きるよ。
魔王『ヒトに限界などないよ、我が子らよ』
以上で完結となります。
長かったのか、短かったのか。
お付き合いしてくださった方々に感謝を。
それではまた、次のお話でお会い致しましょう。




