第二十三話 エレベーターガールとテンション上げる方法
久しぶりの投稿です
その割にかなり少ないです
「何を遊んでいる! あんな小勢、さっさと踏み潰してしまえ!」
ムルク国に攻め入っている魔族の軍団
それを指揮しているのはつい先日まで魔神城の下級魔族指揮官だったAだった
あの事件の後、宝物を奪われた事、ジウレスカと大勢の魔族が死ぬ事になった原因が自分にあることが分かり、自責の念にとらわれていた
アークリンデは「久々に楽しめたわ」と、特に刑罰を与える事は無かった、が、侵入者に利用された愚か者という周囲の目線、そして生まれ持った強い責任感により、Aは勇者に対する殺意を他の魔族以上に持った。
今度会った時、どう縊り殺してくれようかと考えながら日々を過ごしていると
「ムルク国の姫姉妹が失踪した事もあって侵攻してる奴らが落とすのも時間の問題らしいな」
「だがテルクルスの奴は人手が欲しいって言ってたぜ。奴の事だ、何か企んでるんじゃないのか?」
と城の上位魔族が話しているのを聞いた
ここしばらく魔族は領土を増やした事は無く、久々に明るい話題だ、と最初は単純に考えていたが、そこでAの頭の中に一筋の光が走った
ムルクとバウムは同盟を結んでおり、ムルクが危機に陥れば当然バウムは援軍を派遣してくる
だがバウムの戦力など微々たる物だ
しかしムルクが滅びれば次は我が身、手は抜けない。
ならば諸国へのお披露目の意味もかねて勇者を出してくる可能性が高い
無論バウム側は勇者を失うつもりは毛頭無いだろうが、憎き勇者をこの手で屠れる又と無い機会だ
そう思い私は話をしていた上級魔族に直談判して侵攻軍の副官を仰せつかったのだ。
そして大型遠距離転送装置、通称〔アピューザ〕を使い魔神城からムルク北部に隣接する魔族領土に入る。
そこに居た総指揮官であるテルクルス様に拝謁した。
テルクルス様は何かやる事があるらしく、私に軍の総指揮をお任せくださり、そのまま私はムルク侵攻を開始した
情報通り姫姉妹が居ない所為か、ムルク側の動きは驚くほど鈍い。
戦闘になっても蜘蛛の子を散らす様に逃げていく、その中で真っ先に逃げるのは必ず指揮官だ。
この様な低能な種族共が何故ウルジアに繁栄しているのか理解できない。
やはりこの世界は我らが魔神が支配するべき世界なのだ
その為にもあの憎き勇者だけは排除しなければならない
ジウレスカ様の仇討ちと、私の汚名を返上する為にも。
そう思いつつムルク国を進軍して数日程たった頃、前線の魔族からついに待ち焦がれた報告が届いた。
バウムからの援軍がフロトラム城に到着
その中に勇者らしき姿をした者の存在も確認
それを聞いたとき、私は口がにやけるのを抑えられなかった
奴らは増援が来ても戦力差は精々8:2程度でこちらの優位は変わらない。
何か策でもあれば別だがバウムにも今のムルクにもこのレベルの戦況をひっくり返せる者はいない。
コレだけ良い材料が揃っている状況はもう二度と無いだろう。
絶対に逃がさない。
そして話は冒頭に戻る
Aは後方で前線の報告を聞いてイラついていた
勇者は思惑通り戦場に顔を見せ、こちらの圧倒的優勢は変わらないのに勇者を討ったという報告がいまだに届かないのだ。
それどころか勇者の活躍により敵側の士気が上がりつつあるとも。
時間をかけると勇者が逃げてしまう可能性がどんどん高くなる
「後陣と予備兵を全て前線に進ませろ、なんとしてもここで勇者を討ち取るのだ!」
後を向き伝令をとばし、鬼気迫る形相で前線に振り返るA、
その僅か数秒後、戦局は大きく動く。
―――少し時間は巻き戻り、戦場上空―――
「おーおー…おるわおるわ、うじゃうじゃと」
くろごまに乗りながら地上を見る
現在地は魔族側後方の空の上
前線からは有る程度離れてるからここまで来れば安心だろう
「んじゃ行って来るから合図したら降りてきてくれな
ああ、それからあいつらの飛行部隊っぽいのがいたら人間側に気づかれないように殺っといてくれ」
「ぐるぅ」
くろごまの返事を聞いてから飛び降りた
ここ高度いくつくらいだっけ
―――――落下落下落下―――――
―――――――雲雲雲―――――――
―――――落下落花生落下―――――
―――――落下落下閣下―――――
―――下へまいってまーす―――
地面の爆ぜる音と共に着地
到着でございー、御降りの際はお忘れ物の無いように…遅かったか
地面にはクレーターが出来ていた。
最近良く見かけるな、不思議!
「靴を履いていなければ即死だった…」
靴は蔵書にあったものだ
かなりの多機能搭載の為、結構気に入っている
その中に衝撃緩和機能のようなのがあったのだ
多少はダメージあるかと思ったけど全く無かった。
さすが宝物庫製、痛くもかゆくも無いぜ!
そう言いつつ立ち上がる…ん?
なんか足元に変な物がある。
ああ、今ので踏んじゃったのか…猫じゃなくて良かった。
ピアノ苦手なんだよな。
そう思いつつ周りを見回す
彼は自身が踏み殺したのがAだと知る事はその後無かった。
周りの魔族は突然落下してきた物が矢や魔法ではなく人間だと気づくと途端に殺気立ち襲い掛かる。
魔族とはいえ下級魔族は基本的に理性が無い。
動物のように本能で行動しているものが殆どだ。
Aのような者の方が珍しいのである。
周囲360°から襲い掛かってくる魔族に向かい挨拶する、
挨拶はどんな時でも大事なのだよ。
「こんにちWAR-!」
そう言ってから向かってきた奴らの頭を消し飛ばした
両手に握っているのは二対の銃
白と黒の銃
名前はついてなかったな
二郎&三郎にしようかな。
…やっぱりたま&ぽちにしよう
黒がたまでしろがぽち
名前の由来は黒猫と白犬が頭をよぎったからだ!
二丁とも六連装のリボルバータイプで見た目はゴツい装飾銃という感じだが結構軽い。
当然コレも蔵書の物だ
蔵書にあった武器は全て取り出し、念じれば出せるようにしておいたので、今の俺はさながら人間武器庫のようになっている。
その中でもコイツは結構気に入っている
使用者の魔力を弾丸に変換、圧縮し、撃ちだす物で、通常の銃のようなリロードは必要ない。
使用者の魔力により威力が増減する
魔力が切れれば当然弾切れとなる
銃の名前を決めた頃、頭が吹っ飛んだ奴らの体がようやく音を立てて倒れた。
んー、もの足りん。
アレが足りない。
一瞬で6体の魔族の頭部が消し飛ぶ光景を見せ付けられ、殺意を忘れその場で呆然とする魔族達
そんな魔族をよそに(頭の中で)音楽が流れだす
え、何の曲だと?言うわけないだろう
規制やら権利やらあるんだから。
だからよくあるテッテレーもやらん
さて、それじゃまあ
「テメェら全員―――――――あの世で 俺に わび続けろー!」
一人の男が見渡す限りの魔族達に襲い掛かった