第二話 何事も礼儀は大切です
「は、はい?」
隣の※がわけが分からないという顔をしながら明らかに王女サマっぽい格好をした女に顔を向ける
「初めまして勇者様、私の名前はエクレール、エクレール・フォン・バウムと申します。ここバウム王国の第一王女で(以下略)」
「ぼ、ぼくは鷺沼英人といいます…て、ばうむ?聞いた事無い国ですけ(以下略)」
「ここはあなた方が居た世(以下略)」
「それはいっ(以下略)」
「そ(以下略)」
「(以下略)」
横の会話に適当に耳を傾けつつ、俺は周囲の状況を確認していた
周囲の人間の数はざっと見4~50人はいるがこちらとは距離をとっている。
結構警戒してるな…近づいてきたのは王女サマのみか
地面には魔方陣っぽい模様があり、俺と※はその中心にいた
「つまりこの世界には魔神を頂点とした魔族っていうのが人間の生活を脅かしていると?」
「はい、そしてその魔族の脅威から我々を救ってくださる勇者様が貴方様なのです。どうか力無き私達の希望の光となってくださいませ」
「い、いきなりそんなこと言われても」
こういう奴は結局引き受けるんだよな
んで魔王だか魔神だかを殺ったあとくっ付いてハッピーエンド
…って流れが20年くらい昔の王道だな
最近のトレンドって
平和になる→しばらくもてはやされる→権力者に危険視される→なんやかんやで人類の敵認定→世界中に命狙われる→ガメオベラor俺達の復讐はこれからだ!(本編開始)
これだよな
どう考えても不幸な未来しかない
是非引き受けてもらいたい
だが、今の俺はそんなことどうでもいいくらい重要な問題が発生し、人知れず頭を抱えていた。
腹減った
そういや今日ろくに喰ってねぇや
せっかく豪華客船に乗ったのにせいぜい見たのはパイナップル(手榴弾)くらいか
まあフルーツは食いたくない気分だったから投げてくれた人の口の中に丁重にお返ししたけどな(トルネード投法154kmのSFFで)
なんかえらい騒いでたなぁ、そんなに俺の丁寧な対応に感動したんだろうか
感動しすぎて爆発してたしな、感動は爆発だ!っていう人なんだろう
礼儀は人間関係を円滑にする重要な要素だからな、俺ほどの人間だと学ばなくとも自然と出来てしまうのだよ
暫く二人の会話が続いていたが
「分かりました、出来る限りやってみます!」
という※勇者サマの一言で場に歓声が広がった。
「おお!」
「なんと凛々しい!」
「これで世界は救われる!」
てな具合に
まあ場も良い頃合だしそろそろこいつらの本性暴くか
「あんた重要なこと言ってないぞ」
今まで沈黙を続けてきた俺の言葉に少し驚いた表情をしながら※と王女が同時にこちらに視線を向けた。
ていうかこいつら俺の存在に気づいてたのか
無視されてるからまったく気づかれてないのかと思ってたぜ
※と美女てのは違う次元に居るのかと本気で思ってしまうところだった。
「元の世界に帰す方法はあるのか?」
俺の一言で場が静まる、そして一部の人間から俺へと向けられる強い一つの感情
あ、感じてる!ワタシ、感じちゃってる!(殺気を)
こ、こんなにたくさんの人から感じちゃうなんて!(殺気を)
く、くやしい!でも感じちゃう!(殺気を) ビクンビクン
王女はさっきとはうってかわってなかなか言葉を発しない
明らかに動揺し、しどろもどろになっている
「そ、それ「勿論ですとも!」
王女の言葉を遮る馬鹿でかい声の主はそう言いつつこちらに近づいてきた
「あなた方をもと居た世界に帰すこと、これは当然できまする。ですがそれにはしばらくの月日が必要なのでございます。
異世界の扉を開けるには色々準備が必要ですので…あ、申し遅れました、私はここバウム王国の大臣をしているものでございます」
そう言って深く頭を下げてきたメタボ爺さん、(名乗ってたけど忘れた)
不味そうだ。焼く前から失敗確定だろう、喰ったらスタミナダウンしてしまう
マンガ肉どっかに落ちてねーかな
なんかそこらへんにぽろっと落ちてそうなんだけどな
「もし勇者様がご帰還を希望されるのであれば、残念ではございますが元の世界へお送りいたします。
ただ先程も申しましたように異界への扉を開けるのには有る程度の時間が必要でございますので、その間は我が王国で貴賓待遇で応対させて頂きます」
「へー」
全く目が笑ってない
そもそもこいつら最初から勇者を一人と断定している
帰す方法は無い、断るなら還す(土に)って事か
流行ってすごいね
さてどうしようかな、
取りあえず飯食わせろ、話はそれからだ
腹が減ってはアッー!
また感じる!ワタシすっごく感じちゃってるぅーー!!(殺気を)
以下の侵略
略しても以下略