表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/33

第十五話 人間観察してる人も観察されている

という訳でやってきましたログスの街

くろごまを頭に乗せて入り口の門をくぐる

遠目で見たとおり結構規模が大きい

時間は昼ちょっとすぎってとこか


人も多く、そこかしこに店が並んでおり活気がある

ファンタジーお約束の剣を腰に差した戦士や魔法使いの様な外見のジジィ

果ては人間以外の人種もいた。

エルフっていうのかな、耳が尖ってる

あっちのは猫耳生やしてる

獣人てやつかな

他にも見たこと無いのが結構いたが俺はまず宿屋を探していた。

適当にそこらの人に聞いて金は多少かかるが安全、且つ上質な所を見つけた。

門から続く道が大通りになっていて、そこに沿って立てられている所

外見は木造3階建て

良く手入れされているのがわかる


安いところだとカプセルホテルみたいな奴もあるからな

泊まった時に清汗スプレー使ってえらい目にあった


さすがにそういうところはごめんこうむる


「いらっしゃい」


中に入るとカウンターの中に恰幅のいいおばはんがいた

三角巾を額に巻き、エプロン姿で腕まくりをしている


「一人かい?」


「いや二人だ、連れがいる。期間は取りあえず5日」


「食事は?」


「部屋に持ってきてくれ、一人分は消化のいい暖かいスープのようなのを」


「ベッドは?」


「ツインで」


「はいよ、前金で清算することになるけどいいかい?」


「ああ」


「じゃあ5日の食事代込みで500G貰うよ」


「分かった」


食事付きで一人一泊50Gか

ま、こんなもんなんかね


俺はズボンのポケットから適当に金貨(予めページを破っておいた)を取り出しカウンターに置いた。

途端に何故かおばはんが変な顔をする

何だろう、俺の性癖でもばれたんだろうか?

硬貨置いた動作だけで分かるなんてどんだけ人間観察しまくってんだろう


「あんた、この宿丸ごと使って泊まる気かい?」


「は?」


意味が分からない


「これ全部G6貨じゃないかい、おばさんをからかうのはよしとくれよ」


じいろく?


「あんたもしかして貨幣の種類も知らないのかい?」


「ああ、何せ今まで禄に外に出してもらえない身の上だったんでね、説明してもらえると助かる」


嘘はついてない。こっち着てから最初の街の外に出たこと無かったしな

でも買い物はやったし特に問題無いと思ったんだが


「貨幣には6種類あってそれぞれの数字がその単位を表してるのさ、貨幣に数字が彫られてるだろ?それで区別できるのさ。G1貨なら1G、G2貨なら10Gて具合にね。あんたが今出したのは全部G6貨、つまりウん十万も無造作に出したってことだよ、おばさんびっくりしたよ」


「見た感じ彫られてる数字以外違いは無いけど簡単に偽造されたりしないのか?」


「無理だね。貨幣には特殊な魔法が施されててね、数字を偽造しても

見ればどの貨幣なのか分かるようになってるのさ。ちなみにその魔法を使える人間も厳重に管理されてる、もちろん貨幣の原材料の鉱石もね。私欲で使えば即お縄ってことさ」


なるほどな、俺は貨幣なんて禄に見てなかったから分からなかったのか。

買い物したときも適当におつり貰ってたしな

貨幣を見ると確かに頭の中ににG6と表示される


「わかったありがとう」


そういって余分な貨幣をしまった

持ってる中で一番低いのがG4貨だったので1枚改めて出した

ピンはね大臣の部屋にあった奴だろう。

元気にしてるかな?そろそろ縛り首になってるかな?


「この事は」


「分かってるよ心配しなくても誰にも言わないさ、安心おし」


大事なお客様だからね、と言っておばさんはおつりのG3貨5枚を出した


「じゃ、部屋に案内するよ」


そう言ってカウンターから出て部屋に向かうおばさん

俺は"荷物"を担いでそれに続く

廊下は狙って作ったのか知らないが、痛んでいるわけではないにも拘らず一歩歩くごとに床が軋む。所謂鴬張りで作られていた


「にしてもあんたかわってるねぇ」


部屋に向かう途中におばさんが言う


「あたしも仕事柄龍騎士なら何人か見たけど頭の上に龍乗っけてる人なんて始めてみたよ」


くろごまのことをいってるらしい

龍騎士?あれか、空高く飛び上がって降りてきたら味方全滅しててやるせない気分になるあれか?


「あたしは知らないけど龍ってのは子供の時はそうやって育てるのかい?」


くろごまはまた丸まって寝ている

そういや街うろうろしてた時もなんかちらほら視線感じたな

あれはくろごまを見てたんだろうか


「さあ、俺はこいつしか知らないから他がどうしてるかは分からんな」


ていうかこいつ子供じゃないと思うぞ

全長50m以上あるしな

おばはんは勘違いしてるらしいが訂正するのもあれなのでそのままにしておく


階段をのぼり2階に来た

通路を進んで一つの扉の前でおばさんが止まる


「はいここだよ、鍵はこれ」


そう言って鍵を手渡される


「貴重品は自分で管理しておくれよ、失くしたり盗られたりしても責任は持てないからね」


「ああ」


「食事は出来たら持って来るよ、ほんとは昼食の時間は終わってるけど今回はサービスしといてあげるよ。ただ次からは部屋にいない場合は食事の時間までに食堂に来ないと出さないからね。時間の方はカウンターのとこに張り紙があるから後で見といておくれ」


「分かった」


「取りあえず説明はこんなとこだけど何か質問はあるかい?」


「この街の詳しい情報はどこで聞ける?」


「情報ならやっぱり酒場じゃないかい?」


酒場は出来るだけ行きたくないな、絡まれたら酒場ごと消し飛ばしてしまいそうだ


「それ以外ではあるか?」


「そうだね…」


おばさんは少し考えた後、


「金がかかってもいいなら道具屋に行ってみな。あそこの店主なら大抵のことは知ってると思うよ」


情報屋か…酒場で聞くよりはずっと効率よさそうだな


「どこにあるんだ?」


「大通りから小道にそれたとこだよ、来たばかりの人はまず迷うだろうから食事の時に地図書いて持って来るよ」


「ありがとう」


「じゃあね」


そう言っておばはんは通路を戻っていった


それを確認してから部屋に入る

ふむ、まあ広さはこんなもんか

部屋の確認もそこそこに俺は2つあるベッドの一つに担いでいた荷物をゆっくり降ろした


宝物庫のおっさんのマントで包まれた荷物

それをとると、中からさっきの女が顔を出す。

先程より顔色も良くなっており、呼吸も落ち着いている。

疲れが溜まっていた所為かぐっすり眠っている。

女に毛布を被せておく

解呪後の問題はなさそうだ。

後は少しずつ良くなっていくだろう


「飯食ったら早速行動開始と行くか」


そういいつつ俺も自分のベッドに腰を下ろす。

そして先程のことを思い出していた


・闇祓いの数珠


・これを身に付ければどんな呪いも跳ね除けることが出来、使えばどんな呪いも解呪することが出来る

・解呪した呪いは数珠の珠に蓄積し、それを術者の前で割ると呪いは術者に還って行く

・珠の数は108個

・消耗品


コレを使って女の体に憑いていた呪いを祓った

使った途端女の体からどす黒いもやのような物が大量に吹き出て珠の一つに吸い込まれた。

その後女は意識を失ったが顔色は明らかに良くなった。

なので連れて行こうとしたんだが…


気を失っている女を抱えて街に入れば間違いなく怪しまれる。

下手したら即捕まりかねん


仕方ないのでマントで覆い隠して担いで運んできたというわけだ

まあいきなり部屋に二人いたらあのおばさんも怪しむかもしれんが説明すれば理解してくれるだろう…多分。

いざとなったら説得(物理or金)しよう


さて、飯まで少し時間あるだろうし今のうちにやることやっておくか


俺は女のほうに視線を向けた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ