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第十四話 物持ちが良いと整理できないは紙一重

ごめんなさい


前回ラストで殺し合いが始まったとか言ったけど起こりませんでした

始まったのは一方的な蹂躙でした


「この野郎殺っちまえ!」


モブの頭っぽい奴がそう言うとモブ共が襲い掛かってきた


「いいのかな、そんなこと言っちゃって」


「ああ!?」


「君らさ、俺がコレだけの数相手に一人で来たと思ってるの?」


途端にモブ共の顔に疑惑と驚きの表情が浮かび動きが止まった

俺は懐を片手で探り出す


「君らがこの辺で暴れてるってのは結構噂になってるんだよ?君らに対する討伐依頼も俺以外にたくさん出てるし、そいつらもすぐそこまで来てる…これがその証拠だよ、目ん玉見開いて良く見てね」



盗賊達の視線が彼の懐に集まる




彼が懐から取り出したソレは


紛れも無い







閃光手榴弾だった








瞬間



凄まじい閃光と音が辺り一面を覆う


周囲にモブ共の悲鳴が響く

こいつら馬鹿なの?アホなの?死ぬの?

閃光手榴弾を至近距離から目ん玉見開いて見るとか無いわーマジ有り得んわー。

どんだけ素人なんだよ何勉強してきたんだよ


そう思いながら近くのモブが持っていたナイフを奪い取って視界を奪われ悶えている連中の合間を縫いながら首を掻っ切っていった


閃光手榴弾はたまたま持ってた奴だった

物持ちが良いと良いことあるなあ


情けをかける必要は無い、禍根は残さん

一度殺すと決めれば迷わず殺す

迷えばそれだけ自分が危険に晒される

ただ返り血は浴びたくないのでその辺は気をつけて斬る

血まみれで街に入れば即お縄になりそうだもんね



2分後、モブ共は誰一人動かなくなっていた 合掌

赤いペンキを無造作に大量にぶちまけた感じの地面にモブさん達が倒れている



切ってる途中で切れ味が落ちたのでその度にナイフを奪い取ってやった


なまくらばっかだったな

そう思いながら最後に持っていたナイフを適当に放り投げた

さて、女の方は無事かな

女の居る場所に視線を向ける

俺が無双してる間、女は剣を持ち木を背にし背後を取られないようにしていたが既に立つ気力も無かったのか腰を落していた。

まあ手榴弾受けて何も見えて無かっただろうしな


今見ると女は横たわってぐったりしていた


あ、やばいアレ終わってね?

スリーアウトは防いだけど次のバッターが9番で代打がもう居なくて相手の守護神出てきたくらいに終わってる気がする


少し小走りで女に近づいて声を掛けようとすると


「ち、近づかないで…ください」


モデルのように整った顔立ちをしているが呼吸は荒く、ひどく憔悴しており虫の息だ。

髪は青みがかった黒色で、長く後ろにストレートに伸びており後頭部にリボンが結んである。

なぜ生きているのか不思議なくらい顔色は悪いが着ている服装は極めて質の良い物というのが良く分かる。

だがこれは…正直襲われても仕方ないんじゃないだろうか

そう思えるくらい際どい服装だった

上は胸の上部までが完全に露出しており下はかなりのミニスカートで太もも半分が何とか隠れている程度…つまり胸中部から太もも中部までしか無い…そんな服装だった。

見た目的に一番近いのはチャイナ服にミニスカートか?

白を基調として細かな意匠もしてあってかなり良い物だと分かる

だがなにより…


でけぇ…


なんだこれこんなでかい人いるの?これってこんなにでかくなるもんなの?

こんなスタイルの美女って漫画にしかいないんじゃなかったの?

ああそうかこういうのがイケメン君のハーレムの一員になるのか。

マジ今度会ったら八つ裂きにしよう。

ていうか何であの時息の根止めておかなかったんだろう。

くそうくそう、後悔しない人生を送るのが俺の目標なのに早くも挫折した。

試合が終わった後に殺り残したことに気づいてしまった。


まあそれは置いといて、やはりというかなんというかしっかりと拒絶されましたね。

まあ、仕方ないんだけどね

いきなり現れて敵とはいえ人間を躊躇無く殺しまくって辺り一面血の海にした奴に心許すほうがおかしいだろう。


「信用できんのは分かるけど、あんたこのままだとすぐ死ぬぞ?簡単な手当てくらいしてやるから大人しくしとけ」


女の近くで片膝をつく

大きな外傷は見当たらないがこの顔色は明らかに異常だ。

毒か大きな病気に罹っている可能性もある。

医術は多少心得があるがこっちで通用するか分からん

さっさと医者に見せんと手遅れになる。

イケメンのハーレム要員になるとはいえ美女を見殺しにするのは世界の損失だ。どこかの偉い人が言ってた様な言ってない様なそんな言葉を思いつつ手当てのために女に手を伸ばすと


「ち、違うんです」


弱々しくそう言った


「助けて頂いたことには、とても感謝しています。

ですが、わ、私は重度の呪いにか、かかっていて、触れた人、にも、呪いがう、うつってしまうんです…だ、だから」


伸ばしていた手を止めた


呪い


人あるいは霊が、物理的手段によらず精神的・霊的な手段で、他の人、社会や世界全般に対して、悪意をもって災厄・不幸をもたらす行為


つまりオカルトか

俺はそういうのに興味は無かったがこっちでは技能として認知されているのかもしれない。

呪術師みたいなジョブがあれば説明がつく。

剣と魔法の世界でオカルトが信用できんとかそんなん頭固いとかってレベルじゃないしな


んー…この状態かつ女一人で街道からあんなに離れた場所に居たって事は…

女はあの街の人間で誰にも呪いをうつしたくないから人気の無いここらで命を絶とうとした?

それなら盗賊と戦闘する理由が無い

剣持ってるわけだしその前に死ねばいい


「うつしたくはないがまだ死ぬわけにもいかないって顔してんな」


死にかけの癖に目には強い意志が宿っている

自らの全てを懸けてでも成し遂げようとする奴の目だ


「ま、まだ…やり残した事が…あるんです」


女は指差す


「私の妹がど、奴隷商人に攫われ、たんです。

方々にて、手を尽くして、あのロ…グスの商人だということを突き止めて、こ、ここまでき、来たんです…」


ログスというのはあの街の名前か、んでそこにいるはずの妹を助けるために呪われてる体に鞭打ってここまで来たが、運悪く盗賊に見つかりってとこか。

この体じゃ禄に人と接する事も出来なかっただろうに

相当苦労してここまで来たんだろう


「私は、もう…助かりません…でも、い、妹だけは…ティアラだけは、

な、なんとしてでも…助けてあげたいんです」


そう言って女は体を起こそうとする、だがもはや立つことも出来ないのか

足も手も震えているだけで動かない


「待っててね…お、ねぇちゃんが、もうすぐ…行くから…」


芋虫のように這いずりながら街に向かおうとする女。

恐らくもう目も禄に見えていないだろう。

閃光手榴弾の効果はとっくに切れているはずだ

なのに見当違いの方向に行こうとしている。

さっき指差した方向も街とは全く違う方角だった。






人間死ぬときゃ死ぬ


どれだけ心残りがあろうとも


死は誰にでも平等に訪れる


死から逃げることは出来ない


死を遠ざけることも出来ない





死は誰にでも突然やってくる









「上等だ」


俺は頭の中で目的の物を検索してから蔵書を取り出した

本は既に開いている

俺は目的のページを破って取り出した


そのとき空ではこちらが終わったのを察したのかくろごまがこちらに降りてきていた


空は青かった、雲ひとつ無い程に

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