第一話 千本ノックと閃光魔術
いきなり目の前が真っ白になった。
誰だよいきなり目の前で閃光手榴弾破裂させた奴
こんないたいけな一般人に非常識なもん使うんじゃねぇよ
ちょっと豪華客船に潜入して乗組員半殺しにしてから簀巻きにして海に放り込んだくらいで大げさすぎだろーが
別に死ぬ訳でも無し、母なる海とか言うんだし、仮に永久に呼吸が止まってもそれは還ったって言うんだよ
兎に角もうちょっと常識ってもんを考えろよ
犯人出て来い
千本ノック(守備位置バッターとの距離3m以内)で腐った根性叩き直してやる
とかなんとか考えてたらようやく視界が回復してきた
どうしてくれよう
取り合えず最初に視界に入った奴を直径10mくらいの無人島に素っ裸で置き去りにしてやろうかな?(男2人のペアで)
10日も経てば楽園のアダムtoアダムな関係になってるかもしれんな
気持ち悪いから迎えになんて行かねぇけど
少しづつ視界が開けていく中、違和感を感じた
潮の香りと風がいきなり止んだ、いや、消えたと表現するのが正しいか
自分は間違いなく船首甲板にいたし、場所は太平洋のど真ん中だ
錨を下ろしたとしても船の揺れが完全に止まるはずもなし…どう考えてもおかしい
何が起きたか分からんが、警戒はしておいた方が良さそうだ
取り合えず体の状態の確認をしつつ、周囲の気配を探ってみた
…あれ?
囲まれてる?
乗組員は全員海に(不法)投棄したはずなんだが…
…生き残りって数じゃねぇぞこれ
こんだけの人数が今までどこに隠れてたんだ?
「は?」
色々符に落ちない落ちない点を考えていると、突然隣から間抜けな声が聞こえた
なぜかそこは船の上ではなく石造りの大きな部屋の中央だった。
「な、なんだ! 何が起きたんだ!?」
隣の男が騒ぎ出す
身なりからして高校生くらいか
ぱっと見かなり整った顔をしている
身長は170位、スマートっていう言葉が良く似合う体格をしている
少なくとも女に困ってることはないな
きっととぼけた顔しながら何人も泣かせてきたんだろう
こいつがさっきの閃光手榴弾の犯人だろうか
こいつが犯人だろう犯人に違いない犯人にしよう
イケメンは何時如何なる時、どんな状況でも俺の敵だ
※但しイケメンに限る
などという理不尽は許されない許してはいけない
あとで閃光つながりで閃光魔術をかましてやろう
ついでに額に油性ペンで巨乳と書くことも決定だな
べ、べつに私情で犯人て決め付けてるわけじゃないんだからね!!
まあそれはいいとして(後でやるから)
問題はこいつらか
そう思いつつ部屋の壁伝いにぐるりとこちらを囲んでいる集団に目をやった
なぜか全員中世にタイムスリップしたような格好をしている
全身を甲冑で覆い、槍や剣を持つ兵士達、絵画から抜け出てきたような
貴族風の連中
隣の男以外全員がこちらを凝視している
何だよ、なんか用かよ
※と一般人を比較して楽しいか?
健康通販番組のBeforeとAfter見比べてるつもりか?
ふざけんなよ、Beforeにも心はあるんだよ!
何が悲しくてあんな無表情になるか!
Afterを誇張しすぎなんだよ!
Before役の人の気持ちもっと考えてやれよ!
とかなんとか考えていたら
「ようこそ、勇者様」
何時の間にやら俺ら二人の前に高そうなティアラを頭に付け、いかにも高級そうな装飾が付いている白いドレスを着た、王女サマっぽい女が微笑みながら話しかけてきた。
お前がリポーター役か?蹴りかましてやろうか?
そう思いながら俺は同時に健康通販番組のBefore役の人達にエールを送った