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オルトレイジ  作者: 立木ヌエ
第一章「始まり――魔道のある日常」

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12話 聞き込みこそ捜査の基本だよな!

 俺の持ってきた地図が役に立ったっぽい。なんとなーくこれ、どっかで見たことあるなーと思っていたが、そうか!ベルディオの悪魔式!その位置関係?的なのしか覚えてなかったけど、ピンと来た俺の勘は正しかったらしい。これまで、進展と言えるものが無かったから、これは大発見だ!


 でも、みんなの言う通り謎がまだまだある。あの後、ラーメン屋のだけ強かった理由というのも分からない、という話が軽くでてきた。進んだはずなんだがな!謎が深まった気がするぞ!


 しかし、兎にも角にも調査しなきゃ始まらない。所長は単独で、レイジは美玲とペアで調査に当たるらしい。俺はシャスティと組むことになった。リエンドの人の弟子?だったらしいし、相当すげーやつなんだろう。とりあえず、挨拶!


「じゃあよろしくな! シャスティ!」

「よろしくお願いします。えっと、稲垣さん」


 よし、大丈夫そうだな!第一歩は順調だ!


「今日はもう休みだな。明日、俺たちはあのラーメン屋あたりの魔法以外の事件を探るからしっかり休んどけよ!」

「刑事事件とかってことですか?」

「おう! もしかしたら魔力の関係ない方法で何か悪さしてるかもしれないからな!」


 今回の事件でもし、ベルディオの悪魔式が使われていた場合、魔力が行使されるのはその最終段階、生贄が揃い、状況が整った時だ。つまり、それまでは魔力を使わずとも準備することが可能なのである。魔石を埋め込む事が魔力無しで出来るかどうかは懐疑的だが、調べてみる価値はある。


「……なるほど、わかりました。ゆっくり休みます」


 俺も今日は寝よう。色んなとこから情報をぬす……頂戴してきたからな。さすがに疲れた。





 次の日、俺とシャスティは現場周辺で聞き込みを行っていた。


「お姉さん! ちょっと聞きたいことあるんだけど、いいか?」

「あら、お姉さんだなんて、何が知りたいの?」

「最近ここら辺で、変な事件とかなかったか?」

「変な事件……? 特にないかなー、うーん、ごめんね、思いつかないかも」

「いや、ありがとう! 暑さに気をつけてな! それじゃ!」


 このお姉さんも特に知らないか……なんも無いってことか?考えていると横からシャスティがひょっこり出てくる。


「先程の方も特に何も知りませんでしたか……あまり目立った事件はなさそうですかね?」

「それにしても、聞き込みなんてなんか古風ですね。直接警察に聞いたりはしないんですか? 所長さんがなんか知り合いだって聞きましたよ?」


 確かにかつきの名前を出せば最近の事件についてなにか聞けるかも……でも、なんとなく実際に近所に住む人への聞き込みの方がいい気がしていた。


「まぁ、それもそうだけどな、現場の声っていうとちがうけど、住んでる人たちから直接聞いたら、何かわかるかも知んねえじゃん?」

「そうですか、たしかに、じゃあもっとじゃんじゃん聞いていきましょう!」

「おっしゃ!」


 この後、二手に分かれて、聞き込みをしてみたが、俺の方はこれといった情報を得られなかった。困り果てて、コンビニでアイスを買って食べていると、シャスティから連絡が来た。


「いまどこですか? 気になる話を聞いたので共有したくて!」


 おぉ!でかした!現在地を聞くと近くにいるというので、好きなアイスを聞いておく、買ってから行こう。





「ほい、アイス。で、何を聞いたんだ?」

「はい! ありがとうございます! さっき例の空き地近くに住んでるっていうおば様に話を伺ったのですが、二丁目の家の旦那様が行方不明だそうで」


 アイスを食べながら、シャスティが話し始める。


「行方不明?」

「はい、一か月近く前、飲み会に行ったきり、消息を絶っているらしいです。警察に通報したらしいんですけど、バッグなどの荷物が路地裏に放置されていただけで、他に何も手がかりがないと」


 荷物だけ残されているのか、少し怪しいな……


「その路地の場所はわかるか?」

「すいません、そこまでは……」

「いや! 十分だ! かつきに連絡してその行方不明事件について調べよう!」


 俺の勘がこれだと叫んでいる!またもや大発見だ!今回はシャスティの手柄だけどな!





 かつきとはすぐに連絡がとれた。事情を説明するとすぐに警察に取り次いでくれた。そうして、その行方不明者について調べてみると、


「この路地……残りの点のうちの一個だな……」


 ベルディオの悪魔式、その成立に必要な地点のうちの一つに該当していた。しかし、ここではマンイーターを見ていない。


「なにか分かりましたか?」

「うーん、悪魔式成立の残り三地点、そのうちの一つだった」

「大発見じゃないですか! でも、そこでは行方不明になった人の荷物が見つかっただけなんですよね?  自分で大発見って言っちゃいましたけど、ちゃんと関係ありますかね」


 シャスティはすこしずつ自信をなくしたのか、シルエットが小さくなっていく。


「そうなんだよな。マンイーターはここでは発見されてない……でもなにか意味があるのは確かだ」


 しばらく考えていると、シャスティが何かを思いついたっぽい。頭の上に電球が見えるみたいだ。


「……あ、マンイーターがもし、術者の思うように動かなかったら……って考えたらどうです?」

「……おぉ、なるほど」


 そうか!これまで、ラーメン屋の地点としての特異性ばっかり考えてたけど、術者が何がミスしていたとしたら!例えば、固定しておく予定だったマンイーターが、何らかの理由で移動してしまったとか!

 もう一度地図を見直すと、路地からラーメン屋までの間に、人から隠れることが出来そうな道や廃墟がある。少しずつ移動して、人に見つからずにラーメン屋に現れるのも不可能じゃない!


「シャスティってめっちゃ頭いいな!」

「いやぁ、まぁ、そんなことないわ!……ないですよ」


 ん?なんか今雰囲気が違ったような、なんというか今の頑張り屋さんで謙虚な彼女とは違って、自信たっぷりな感じが……まぁいっか!そんなこと!


「とりあえずこの情報を報告だ!」


 事務所に戻ってみんなと共有するぞ!

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