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「た、たすけ……」


 舞台に残っていた最後のゴブリンを殺した。

 魔物大量発生イベントの時ぐらい殺したが、観客の一部には逃げられてしまった。

 これから先、英雄ゴングを殺した人間ということで俺の話がゴブリン王国中で広まるのだろう。


 やはり、物理系だと戦場制圧に限界が来る。

 だから他のプレイヤーはギルドを作って協力していたのだろうが……。


 まぁ、今更プレイスタイルを変えるつもりもない。

 これからものんびりと一人でやって行こう。


 そうと決まれば、こいつらを<解体>して―――


「そう言えば無限鞄、没収されてた」


 こいつら鞄に詰められないじゃん。

 はぁ。時間の無駄、だったかもな。


 どの道殺すことになってただろうし……。

 まぁ、いっか。


 多分、城に俺の荷物あるだろう。

 取り戻すついでに金も貰おうかな。






 城の入口に着いた。

 目隠しされていた時は分からなかったが、闘技場は城の地下に隣接されていた。

 だからか、地上に出るまでに多くのゴブリン兵が俺の方へ投入されて来た。

 全て問題無く対処したが。


「親友の仇―――」


 俺の体目掛けて勢いの乗った槍を力任せに弾き返し、首を切り落とす。

 こんな感じに。


 スキルを使わない戦闘にも慣れたな。

 こいつらのレベル帯なら魔力を節約しながらでも大丈夫そうだ。


 <索敵>を使う。

 城の上階から大量の生命反応があった。

 おそらくここの領主か、大会の観客でも逃げ込んでいるのだろう。

 そしてそれを守るゴブリン兵といったところか。


 どうでもいいな。

 優先すべきは無限鞄だ。


 宝物庫―――にはないか。

 奴隷の持ち物を大事に保管するはずが無い。

 となると収監されていた牢屋の近くか?


 行ってみれば分かるか。






 地下に辿り着いた。

 城に入ってからここに来るまでにゴブリン兵と戦うことは無かった。

 ということは、上階に居る奴らで最後なのだろう。


 分厚い鉄扉を開ける。

 どうやら鍵は掛かっていないようだ。

 部屋の中には、いくつかの木箱があり、拷問道具や錆びついた武器等が入っていた。


「お、あった」


 乱雑に入れられた木箱の中にお目当ての物―――無限鞄を見つけた。

 中身を漁れなかったのだろう。

 EBでの個人ロックはまだ健在らしい。


 改めて考えると不思議だ。

 EBでの法則がこの世界でも適用されていることが。

 いや、異世界転移している時点で不可思議なんだがな。


 まぁ、今は関係無いか。

 とりあえず愛剣を―――


「……そう言えば、剣って鞄に入れてなかったか」


 俺が普段使っていた剣は、エピック級に相応しい装飾が施されていた。

 見た目が良いとなるとここではなく宝物庫に保管しているのだろう。


 仕方が無い。他の剣を出そう。

 エピック級は1本だけだったから残りはレアの―――


「……は?武器が無い……?」


 無限鞄を漁ってみるが武器が一切、出てこない。

 アンコモン級、コモン級……全て無い。

 他にもHP回復ポーション、MP回復ポーション、地図、冒険者証、ゴブリンの素材―――黒竜の素材も?!


 くそ!もういい、入っている物全部出せ。


 そう思いながら漁ると手に何かが触れた。

 無限鞄から一気に手を引き抜くと黒一色の剣が出てきた。


 こいつは、武器屋から譲り受けた剣だ。

 まさか、無限鞄の中身を全て食べたのか?

 というか、中身にどうやって干渉したんだ?


「……おい、聞いてんのか?」


 軽く剣を小突くが、返事は無い。

 こいつが無限鞄に入った時点で生物ではないことは知っていたから反応が無いのは知っていた。

 だが、それでも一言ぐらい良いだろう。


 俺のアイテムが……。後悔しても無駄か。

 こうなったら酷使してやる。


「はぁ……鬱だ」


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