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最弱パーティのナイト・ガイ  作者: フランジュ
リア・ケイブスの事件編
14/250

ふたつの愛の行方


リア・ケイブス 宿



ガイはベッドに寝転がって本を読んでいた。

いつもなら、こんな姿をメイアに見られると行儀が悪いと言って怒られるところだが、1人部屋のため気持ちが楽だった。


メイアから借りた本は、六大英雄譚のスピンオフ。


その名も"ミル・ナルヴァスロ ふたつの愛の行方"


メイアから手渡された、本のタイトルを見たガイは絶句し、顔を引き攣らせた。

それはタイトルからして明らかに恋愛小説だったからだ。


正直、読む気が全くしなかったが、読み進めると止まらなくなった。

昔、メイアが言っていた、"お話の続きが気になる"というのは、こういうことなんだろうなとガイは初めて感じた。



その内容は、この本の主人公であるミル・ナルヴァスロの強さもさることながら、特に色んな女性との恋模様が描かれていた。


そして、この本の後半はミルが、たった1人だけ心から愛した女性がいたことが語られ、ミルは、その女性と共に歩むことを誓うのだが、ここで事件が起こる。


なんとミルの"親友"も、ミルが愛する女性が好きであることがわかるのだ。


そしてミルと親友は彼女の愛を掛けて決闘するのだが……


というところまでガイは読み進めていた。

そんな中、ガイはあることに気づく。


「腹減った」


そう呟くと、勢いよくベッドから体を起こして部屋を出た。



_______



時刻は夕刻に近づいていた。


ガイがロビーへ降りると、ちょうど宿に帰ってきた人物がいた。

その姿に、ガイは見覚えがあった。


「ん?」


「ん?」


青髪ショートヘアで小柄な女性。

それは昨日ギルドで会った"ローラ"だった。


「げ」


「"げ"ってなによ」


ガイの嫌そうな顔に、怪訝な表情を浮かべるローラ。


「それより、あなた達、あの依頼受けなかったの?」


「今日は大雨だったからな」


「へー。その話ぶりだと受けるのね。もしかして今から行くのかしら?」


ローラはそう言って笑みを溢す。

あわよくば自分もついて行こう、そんな考えだろうとガイでも想像はついた。


「行かねぇよ。今日は本読んでるし」


「本?なんの本?」


「ミル……なんとかの、ふたつの愛の……ってなんで、お前に教えなきゃいけないんだよ!」


「ああ、あの本!ラストが衝撃的よね」


ローラはガイの言葉に構うことなく話を進めた。


「まさか、ミルの"親友"が自分の好きな人を殺めるなんて思いもよらなかったわ」


「へ?どういうことだ?」


「ミルの親友って、性別が"女"なのよ」


「は?」


ガイの頭は混乱していた。

確かにミルの親友ってだけで、勝手に性別は"男"であると決めつけて読んでいた。

その名前は男でも女でも違和感がないように書かれていたのだ。


「"親友"は二重人格でね。もう一人の人格はミルが好きで、その彼女を殺めてしまう。そして、もう一人の人格はそれに絶望して、自ら命を断ってしまう……はぁ、切ないわ」


「なんだ、その話は……いや、俺はそこまで読んでねぇよ!!」


「あ、ごめんなさい」


キョトンとした表情のローラ。

ガイは怒り心頭だった。

なにせ、続きを楽しみにしていたのに、全てネタをバラされてしまったのだ。


「お前なぁ……」


「でも、もう"ひとオチ"あるから、最後まで読んでみることをオススメするわ」


「なに、綺麗に終わろうとしてんだよチビ!」


「はぁ?チビはあんたでしょうが!!あたしはこれでも17歳なのよ!」


「それは昨日、聞いた!それがどうしたんだよ!!このガキが!!」


もはや2人は殴り合いに発展しそうなほど。

宿のロビーは異様な熱気に包まれていた。


「あんたこそガキでしょうが!!それに、その波動石、まだ色がついてないし。この町まで来て、そんな"色無し波動石"見たことないわよ」


「悪かったな!!俺は波動数値"7"の低波動だよ!!文句あるか!!」


「え……?」


その瞬間、ローラの顔色が変わった。

驚いているのか、困惑しているのか、はたまた両方か、ガイはその表情を見て落ち着きを取り戻した。


「どうしたんだよ」


「あんた……"一桁台"なの?」


「そうだよ。それがどうした」


「な、なんでもない……」


ローラは顔を引き攣らせながら、ガイの横を走って通り過ぎると、自分の部屋へと戻って行ってしまった。


「なんだよ、あいつ」


ガイは首を傾げつつも町へ出た。

もう空は晴れ渡っており、ガイは夕暮れ空を見ながら買い出しへ向かうのだった。

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