19.たたみ✕ (日夏過去編)
「いや即答かよ! マジ、うけるんだけど!」
あはははと笑うギャル。ウケねえよ、てかもう帰ってくれないか。俺のゲーム時間が......はやく手に入れた左手デバイスの設定やら試運転がしたいんだけど。
つーか正直このまま話してたら心臓が保たんのよ!発作おこして倒れそう。
「お願い! この通ーり!!」
両手を合わせて頭をさげるギャル。えー、マジムリなんですけど〜。
「悪いけど、俺には人に構っている時間は無いんだ。 他をあったってくれないか」
「他なんていないもん」
「ゲーム内で探せばいくらでもいるよ。 ほら、白チャで誰かゲーム教えてくれませんか〜って打てばさ」
白チャとは、そのエリア付近にいる人全員へ送信される白いチャットの事で、打った文字が白く表示されることから白チャと呼ばれる。
その白チャでプラス女と言うことをアピールすれば確実に誰かしらが寄ってくるだろう。素敵なナイト的な誰かが。
まあ運が悪ければ出会い目的の『出会い厨』に絡まれるかもだが、俺は知らん。はやくゲームがしたい。
「し、白チャ? 白い、お茶......? ミルクティーミルクマシマシ的な? あ、美味しそう」
「確かに美味そう......じゃない、違う! そーじゃない。 え、ていうか、そこからなのか?」
初心者中の初心者?チャットがわからないとなると確かに進めるの難しいかもな。
てかこれ本当にプレイしたことあるんか?
俺は丁寧に白チャの説明をする。なるべくわかりわすく、小学生にでも教えるかのように。
すると彼女からは「あー、ね!」とわかったのかわからんのか判断に困る返答がきた。
「いやあ、だからさ、本当にゲームの事わからないんだよね。 ゲームの中で助けてくれる人がみつかるまでで良いからさ〜、助けてよ」
どさくさに紛れて俺の手を握り、顔を近づけてくる。その眼はカラコンなのか少し水色っぽい瞳をしていた。
くそ、潤んだめで見るんじゃねえ!心臓がバーストしちまうだろ!
さらにぎゅうっと手をにぎりしめてくる。幼なじみ以外でこれほど女子とお近づきになったことなど今まで無かった俺には刺激が強すぎた。
いや、幼なじみはどちらかといえば男友達みたいな感じだっかけども。
「わ、わかった! まって、わかったから、とりあえず手をはなそう! 一旦離れようか!!」
多分顔赤いんだろな、俺。それを意識して更に熱が入るのを感じた。
その様子をみて恥ずかしがっている事に気がついたのか、ギャルは目を点にしたあと、ニコッと悪戯な笑みを浮かべる。
「ねえ、お願い」
色っぽい声で、囁くように懇願する彼女。こ、こいつ、明らかに殺りに来てる!!
「教える! 教えるから! 助けてくれる人が見つかるまでだな!? わかったから離れてくれ、頼む!!」
「わー、ありがと! でも君が最後まで教えて?」
(は?)
「は? ......え、そ、それは......え」
手を振りほどこうにも魔力的な何かでくっついてるのかというくらい動かせない。これは首を縦にふるまで離さない気だな。そう、こうなった時点で俺の敗北は決まっていた。
あのとき、荷物を受け取って素知らぬ顔で部屋へ帰ればこんな事には!
(......やると言うまで離してくれないなこれは)
後悔と敗北......もはや教える他道がなかった。
(無理矢理つっぱねて陽キャグループのイジメの標的にされたら怖いし......)
「わかった、わかったから......教えるから、手をはなしてくれ」
「やたーっ!! ありがとねっ!!」
グッ、っと拳を握りガッツポーズを決めるギャル。
(......すげー喜んでんな)
その嬉しそうな笑顔をみると、不思議と先程までのめんどくさいという気持ちが薄まった気がした。
いや、嘘だ。マジでゲームしたい。




