プロローグ
空は暗い雲に覆われ、周囲には濃い霧が立ち込めている。
果てなく広がる平原に、人気は一切ない。
優しいシャワーのように降りしきる雨で芝は濡れ、空気中に土の匂いが漂う。
一見すれば、ただの平原。ただの雄大な自然。
しかし、ここは違う。
何せここは、太陽の日が射すことは無く、今も尚振り続ける雨は、決して止むことは無いのだから。
さらにもう一つ、決定的に違うものがある。
それは、「墓」だ。
四方八方、どこを見渡しても無秩序に広がっている墓。
その数は、もはや把握することなど不可能で、無限にあるのではないかと思えるほどだ。
そんな、絶望的で、退廃しきっている、もはや生命の気配すら感じさせない場所に、影が一つ。
黒いローブを身に纏い、頭に被っているフードもやはり黒。
深く被られたフードのせいで、顔はよく見えない。
そんな黒い何者かが手に握っているのは、巨大な鎌。
「黒」と「鎌」という特徴を持ったそのシルエットは、「死神」を連想させる。
いや、事実、その影は「死神」そのものだ。
死神は、自身の背丈以上はある鎌を携えたまま、ゆっくりと平原を進む。
さくっさくっと、小気味の良い音を立てながら、ただただ、目的も無く彷徨い続ける。
一歩進むたび、フードからポツリと雫が落ちていく。
しかしその時、順調に進んでいた足がピタッと止まる。
顔を僅かに上げ、何かをジーっと見ているかのようだ。
そのまましばらくの時間が経った頃、再び歩き始める。
周囲を見れば、霧はさらに濃くなり、死神の影が段々と朧気になっていく。
やがて、遠のいていく死神の姿は、霧のカーテンに遮られ、完全に姿が見えなくなるのだった。
まだプロローグを書いただけですが、とりあえずこの作品に目を通してくれた方々、大変ありがとうございます。
これが、僕にとっては初めて投稿する作品となります。
まだまだ未熟者で、執筆の要領も得ておりませんが、今後の展開にもお付き合いくださると大変嬉しいです。
今後とも、是非よろしくお願いいたします。