~好きって言っちゃ、ダメ?~
今回は、翔君の婚約者、松坂香奈と対面!気になる方は↓へ!
香奈さん、かわいかったなぁ。
勝てる気がしないよ。
香奈さんの気持ちは知らないけど、翔君の外見はともかく、性格は最高だもの。きっと二人は両思いなんだわ。
そう思うと、目の前が真っ暗になった。
「夕日ー、夜ご飯できたわよー!」
お母さんがキッチンから呼んでいる。
「はーい」
思ったよりも声が出なかった。
ベッドに入ったときは、今日のことは忘れちゃおうと決めた。だから、松坂香奈さんのことや、翔君と一緒にショッピングモールへ行ったこともない。うん、そうしよう。
そしてその夜は、ぐっすりねむった。
朝イチで、家電が鳴った。リリリリリーンと鳴った。
「夕日、電話出て」
お母さんがお店の準備をしながら言う。
「はい、どちら様ですか?」
「山西です。春野さんのお宅でよろしいですか?」
翔君は相変わらず礼儀正しいなぁ。
「はい、そうですが」
「夕日ちゃん?」
「翔君なの!?」
翔君のお父さんの声と似ていたので、全然気づかなかった。
「午後から香奈ちゃんの誕生日会なんだ。うー、ドキドキするよぉ」
翔君が香奈ちゃんと行ったとき、胸が痛かった。ズキズキ痛かった。
「き、きっと喜んでもらえるわ」
翔君に、今の私の気持ちを知られたくなかったから、わざとそう言ったけれど、声が震えてしまった。
「そうだよね。夕日ちゃんが選んでくれたんだもん、大丈夫だよね」
翔君はほっとしたように、電話の向こうで息をついた。
「……翔君はさ、香奈さんのこと、好きなんだよね……?」
聞きたくないけど、聞きたい。確かめたい。少しでも私の心を安心させたい。
「……、うん、好きだよ。でも、でも、僕はさ、昨日話したように、」
はっきり好きだと言われて、とても悲しかった。
同時に、香奈さんが翔君の良さを封じ込めてしまっているとも思えた。
「どうして、どうして、どうして香奈さんなんかのことが好きなの!?」
自分でもびっくりするくらい言葉がきつくなってしまった。
はっとしたときには、もう遅かった。
「香奈ちゃんなんかって、言わないでよ。香奈ちゃんのことを、悪く言わないでよ……。香奈ちゃんは、香奈ちゃんは……、すごいんだからね!」
そして、ガチャっと電話を切られた。
ものすごく悪いことを言ったと思った。でももう、どうしようもない。
あやまらなければと思ったけれど、今日は学校もあるし、なんとなく、今はあやまりにくいと思った。
下校時刻になり、家にそのまま帰ろうかと思ったけれど、どうしても今日、あやまりたかった。そのままだと、きっと、気まずくなってしまうだろうから。
私は、『山西医院』に向かった。
翔君の家は知らないけど、病院になら、翔君のお父さんがきっといるから。
病院につき、ドアノブに手をかけようとすると、中から翔君と、声が高い女の子の声がした。
ドアを少し開けて、話を少し、聞くことにした。
「香奈ちゃん、わざわざ来なくてもよかったのに」
香奈ちゃん?ってもしかして……。
「翔君と一緒に誕生日会に行きたいの」
中で話しているのは、翔君と香奈さんだった。
香奈さん、声までかわいいんだ……。
ドアの隙間からのぞくと、うっと息をのんだ。
写真より、目が大きくて、顔が小さく、モデル顔だった。
「じゃ、行こうか」
香奈さんは、翔君の手をさりげなくにぎる。
そのとき、翔君が少しビクッとしたのがわかった。
っていうか、こっちに来てる!ヤバッ!
私は急いでドアを閉め、翔君たちから見えない所にかくれた。
「はっ、びっくりしたぁ。夕日ちゃんかー」
ガガガーン。バレちゃった。
「どうしたの?」
「あの、朝のこと、あやまりたくって」
さすがに香奈さんのいる前ではあやまれないので、翔君を引っ張ってきてあやまった。
「僕こそ言い過ぎたよ、ごめんね」
翔君は、なんて優しいんだろう。もうちょっと怒ってもいいのに。
「だぁれ?」
「僕の友達。春野夕日ちゃんだよ」
香奈さんは、私の体を頭から足までじっくりながめた。
「ふーん。じゃあちょっと、春野さんかりるね」
そう言って香奈さんは私の手を引く。
「ね、あなたって、翔君のこと、好きなの?」
いきなりの質問にびっくりしてしまった。
なんて答えよう?本当のことをいうか、秘密にしておくか。
だけど、ライバルなんだもの、秘密にしないほうがいいよね。
「はい、そうです。私、翔君のこと、好きです」
「私が翔君のこと好きなの、知ってる?」
これも、うそはつかないでおこう。
「知ってます」
「じゃあどうして好きって言ったの?」
言っている意味がわからなかった。
「好きって言っちゃ、ダメなんですか?」
どうでしたか?
作者も書きながら、めちゃめちゃまよいます。どの子の恋を実らせようか、と。
みなさんはどう思いますか?ぜひ感想お寄せください!
次回をお楽しみに❗