~すれ違う二人~
翔君の婚約者とは……!?
気になる方は↓へ!
うそでしょ!?婚約者!?
びっくりしすぎて、思わず目が丸くなった。
「か、翔君、こ、婚約者、いるの?」
「うん、家がとなりで昔から仲がよかったんだ」
だけど、と翔君が続ける。
「僕はその子と結婚したくないんだ」
「どうして?」
「その子は、とってもかわいいんだよ。誰にも負けないくらい」
ズキッと心が痛んだ。
「僕とはつり合わなすぎて、恥ずかしい」
そう言って翔君はうつむく。
「そんなことないと思うよ。その子がどんなにかわいくても、つり合わないとか、関係ないよ」
翔君をはげますつもりで言ったんだけど……。
「やっぱり、夕日ちゃんもそう言うのか……。みんな他人事。僕がどんなに悩んでるかわかるわけないよ」
「他人事だなんて思ってないよ。ただ、私ははげまそうと……」
「もうこの話はやめよう。ほ、ほら、ショッピングモールが見えてきたよ」
私には悲しそうな顔の翔君しか見えないよ。
「今日は、香奈ちゃんの誕生日プレゼントを買いたいんだ。あ、香奈ちゃんって僕の婚約者ね。松坂香奈」
香奈さん。かわいい名前だな。
「どんなものをプレゼントしたいの?」
「例えば、髪飾りとか?」
うーん、香奈さんがどんな人かわからないからな……。
「香奈さんの写真、見せてもらえないかな」
翔君は、お財布の中から大事そうに1枚の紙を取り出した。
そこには、目が大きくて二重で、頬がほんのり赤くなっている女の子が写っていた。
「これが香奈ちゃん。性格は、とっても優しい。性格までかわいいんだよね」
翔君、ホントは香奈さんのこと、好きなんじゃないかな……?
「じゃあ、ピンク色のネックレスなんて似合いそうじゃない?」
翔君の顔が、パッと明るくなる。またチクっと心が痛む。なんだかさみしかった。
「でも、ネックレスって高いんじゃないかな?」
「専門店とかじゃなかったら、普通に買える値段なんじゃない?」
そうかも、と翔君はうなずく。
そこで私たちは、洋服屋さんに入った。かわいいバッグやカチューシャなども売っていた。
お店の奧に、小物が売ってあった。その中に、ネックレスもあった。
「これなんか、かわいいんじゃない?」
それは、ハート型の桃色のネックレスだった。
写真の香奈さんと重ねて考える。うん、いいかもしれない。でも同時に、こんなに似合うものをプレゼントしたくないとも思った。
だって、似合うものをプレゼントしたら、香奈さんがもっとかわいくなってしまう。そんなことになったら、もう、私のことなんか翔君は見てくれなくなるだろう。そんなのはいやだ。けれど、そんな悪いことをしたら、一生後悔するだろう。
私の中の悪魔と天使が数分戦ってから、ようやく決めた。やっぱり悪いことはしたくない。たとえ、私のことを、翔君が見なくなったとしても。
「うん、私もすごく似合うと思うよ!」
私は、ワッと泣き出したい気分だった。
「じゃ、これに決まりね」
少しこぼれていた涙をかくすために、翔君がもっていたネックレスをとり、レジへと向かった。
……、こんなはずじゃ、なかったのに……。
それから私は、ずっと上の空だった。
あのあと、ショッピングモール内を、翔君と一緒にまわっていたけれど、そのときのことは、ほとんど覚えていない。
「今日はありがとう!おかげで助かったよ。きっと香奈ちゃん喜んでくれるよ」
「そう、それならよかったわ」
「また連絡するね。じゃ、今日はバイバイ!」
翔君は元気に手を振って帰って行った。
どうでしたか?
今回は二人の気持ちがすれ違ってしまいましたね(汗)
作者も、つい、ドキドキしてしまいます。
二人の恋の行方は……⁉
次回をお楽しみに❗