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パパの思い

作者: 猫じゃらし

 

 君の笑顔に癒される。

 きゃっきゃと笑う声につられてパパも笑った。

 小さな体を抱き上げて、丸いほっぺに頬ずりしよう。

 ほんのり香る赤ちゃんの匂い。

 君はまたきゃっきゃと笑った。

 パパの大事なたからもの。




 今日も早くから仕事で、帰りはいつも遅い。

 君の寝顔に行ってきますをして、君の寝顔にただいまをする。

 ふっくらとした丸いほっぺはパパの手のひらの半分よりも小さい。

 それでも、日々成長して大きくなっている。

 休日にだけ抱っこできる、大きくなったをより実感できるのはパパの特権かもしれない。


 君がママのお腹にいると知った時はすごく嬉しくて、でも実感がなくて。

 早く会いたい、早く会いたいと思っていたよ。

 君がママのお腹から出てくると、パパはやっとパパになれたんだ。

 小さな手、小さな足、小さなお顔、小さな体。

 それなのに声は大きくてたくましくて、命の重さを実感した。

 君を初めて抱っこして、パパが守っていかなきゃと思ったんだ。


 できることが増えたと、こんなことをしたんだと、毎日ママから教えてもらってるよ。

 もうそんなことができるようになったんだな。

 パパは毎日君と一緒にいられないから、初めてを見ることはできない。

 休日にやってくれるかなと期待するけど、君は披露してくれないね。

 少し残念だけど、笑顔で両手を広げられたらそんな気持ちも吹きとぶよ。

 ちゃんとパパだってわかってくれてるんだもんな。

 たくさん、たくさん抱っこしてあげるよ。


 1人で歩き始めれば遊べることも増える。

 抱っこは少なくなるけれど、手を繋いで歩くのは楽しみだね。

 お散歩して、いろんな発見をするんだ。

 君は指をさして喜ぶんだろうな。

 しゃべり始めたら、もっともっと楽しいよ。

「パパ」って呼んでくれるかな。

「好き」って言ってくれるかな。

 可愛らしいその声で、どんなおしゃべりをするんだろう。

 アンパンマンの話かな。

 ママに怒られた話かな。

 それとも、お友達の話かな。

 君の世界はどんどん広がっていく。

 全部、パパに話して教えてね。


 君の世界を、パパにも教えてね。




 今日も早くから仕事で、帰りも遅い。

 君の寝顔に行ってきますをして、君の寝顔にただいまをするんだろう。

 君を抱っこしたいけど、休日までパパは我慢するよ。

 寝ている君を起こさないように、そーっとそーっと玄関を開ける。

 きゃっきゃと聞こえるのは、寝室から。

「寝ないのよ」とママは言う。

 隣では、満面の笑みの君がパパに両手を広げた。



 君の笑顔に癒される。

 きゃっきゃと笑う声につられてパパも笑った。

 小さな体を抱き上げて、丸いほっぺに頬ずりしよう。

 ほんのり香る赤ちゃんの匂い。

 君はまたきゃっきゃと笑った。

 パパの大事なたからもの。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 父親視点だとどう描くのが疑問に思っていたのですが、納得の内容でした。 仕事で朝と晩、赤ちゃんの寝顔しか見れない日々。 それがラストで崩れる、ステキなトラブルが起きる展開が、胸にきました。 …
[一言] お父さん目線のお話もありがとうございます。 帰宅されて偶然赤ちゃんが起きておられた時は、 お父さまへの「ごほうび」なのかもと思いました。 「ねぇ、ママ」シリーズ(?)は、 どの作品もほんわ…
[良い点] 銘尾友朗様の「笑顔でいこう企画」から拝読しました。 うん。うちの娘もこうだったんですよねえ。 今じゃ生意気言うけどwww。
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