第7話 街と選択の事情聴取 - Voice Hearing
魔女と、街に質問を。
命運と知恵の事情聴取。
「聞いてる?」
突然声をかけられて考えていたことは吹き飛ぶ。
「ご、ごめんなさい・・・。ちょっと考え事をしていて・・・。」
「いいのよ、別に。さて、とりあえずここには4つの街があるみたいよ。」
「さすがは知恵の魔女さま。頼りになるのです。」
「ニコラって呼んで。」
「ところで命運の魔女さまは意外とお静かですのね?」
デイナに言われてロエルの方に目を向ける。
そこには鼻提灯を膨らませて寝ているロエルがいた。
「本当に能天気ね・・・この子は。」
ここは街を分ける湖の前。
「・・・ふえ?ご飯まだ?」
「ご飯って何よ・・・。」
「お魚さんを釣ります?」
「釣っても大丈夫なんですか?」
まるでお互いを知っているかのように会話は自然なものだった。
「とにかく。どう動くか案がある人は教えて。」
「やはり街が4つあるのであれば手分けして一人一街はいかがです?」
「ロエルもそれでいいよー。」
「あなたは?」
「あ、ぼ・・・私もそれでいいと思います。」
「こーへーにくじ引きでいこー!」
「う、うん。そうしよう。」
こうして、私たちは手分けして街を回ることにした。
命と愛の魔女:ファテマ街
空想の魔女:レッジ街
命運の魔女:ヴィトール街
知恵の魔女:デリュー街
-ヴィトール街-
「ふわあぁ・・・」
なんかみんなふつーにくらしてる・・・?
なんていうかたすけ合ってる感じ?
でも人が少ないねー。まあどうでもいいや。
「異常なーし。帰ってねよー。」
-デリュー街-
「あの、すみません。お話を聞かせていただいてよろしいですか?」
さっきから色んな人に話しかけている。
でもみんな何故か上の空だ。
・・・そう。デイナがいっぱいいる感じ。
考えたらゾクッとする。
「ねーちゃん、可愛いじゃねーか?」
「ちょっと付き合ってくんねー?」
声をかけられて振り向くと大男が2人。
すると、周りの人がそそくさと家に帰っていく。
「どうやらここの住民様じゃないように見受けられるけど?」
「おっと、ご名答!俺らは愛に生きる愛の子さ。」
「にしても愛されてるようには見えないけどね。」
周りを見渡しながらポツリとこぼす。
すると、
「おう?ねーちゃん喧嘩売ってんのか?」
「売られた喧嘩は買ってやらなきゃな。そいで、後で愛に従ってもらうぜぇ!?」
そう言って投げられた短刀は氷をまとっていた。
そうか、これが魔術。
・・・多分考えたら何もできない。感じるままに・・・。
そっと目を閉じて息を吸い込む。
目を開くと本が現れる。
本のページが風にめくられるように翻り、一つのページで止まる。
そこにあるように魔法円を書く。
「万物、三態の掟を強いる。マテリア・サブリメーション!」
魔法円は青い光を放つ。
「・・・はん!威勢だけか?何も起こらねえじゃねーか!」
そう言って男たちは炎のナイフと氷の短刀を投げる。
そして・・・刃物が魔法陣に触れると、そっと消えていく。
もう一つ魔法円を描き、唱える。
「水流、逆らう物を穿て。ストリーム・スピアー!」
水が束になって男たちにあたり、街の外へ彼らを飛ばす。
ふと振り返ると一人の老婆がニコラの肩に手をおいていた。
「ありがとうねえ。お礼になんでも教えてあげよう。」
不自然なぐらい芝居じみた声。
「あら、ありがとう。是非、今の状況を聞かせて?」
ロエルは何もしていないのではない。
何をするか忘れたのだ。
ここでなんと初の魔術勝負!
・・・ごめんなさい、読者集めたかったの。
次回は残りの魔女二人の街巡りです!