第4話 ケイロスと間の初まりの思い - First Origin
空間の賢者、ケイロス視点。
リーダーとして振る舞うが故にかけるもの。
1つ目の必需事項であるとは。
そこに存在するためには空間が必要であった。
魔女と民はそれぞれの地域を目指して塔を出た。
癖のように伸びた右手に少し動揺した。
でも、自分は変わらないようだ。
「では、クローイ。行ってくる。」
そう言うとクローイは少し心配そうに眉をひそめる。
「はい、いってらっしゃい。」
どうやらエリオスもすでに塔を出たようだ。
どうせそこら辺をほっつき歩いているのだろう。面白いものを求めて。
空中に触れると黒い扉が現れる。
必要な本はみんなを呼び寄せる前にかき集めていた。
3冊ほどの分厚い本を片手で抱えながら黒い扉を開ける。
奥の机に本を置いて、椅子を引いた。
そして、つぶやくように言葉をこぼす。
「みんなが来たら呼んでくれ。」
そういえば、地球でも姉にこう言って勉強をしていたんだっけ。
「はい。お疲れ様。」
そういったクローイはきっと寂しそうな顔をしていたのだろう。
扉は、空気一つ流れていないこの場に逆らうように、一人でに閉まった。
・・・
歴史。
この三冊の書それぞれにギュッと詰め込まれた二千年。
一冊目の表紙をなぞってみる。
「魔法技術の歴史」
表紙をめくると、それは魔法技術の説明から始まっていた。
『魔法技術、通称魔術と呼ばれるもの。
人体内で生成される魔法粒子と術者の念願に応じて発動される。
一般的に個人特有の願いに応じて変化するため、一種類の魔術に固定される。
魔法技術の起源は古の呪術とされており、昔は贄や魔法円を用いたものが主流であった。』
そしてそこには今に至る魔術の幾度かの発展についての記述も書かれていた。
「ふぅ・・・。」
復習、といったところか。
二冊目の本に手を伸ばし、持ち上げてみる。
「予言と歴史」
次は収穫がありそうだ。
期待を込めて表紙を開く。
『第一:大予言の章
占師と呼ばれた歴史上の偉人たちは数々の予言を残した。
ここに偉大なる大予言を記す。』
大予言としてメジャーなものは、
ホリヴァトと呼ばれる占師の千年予言。数々の予言と、その末のクハンダの暴走。
バンガと呼ばれる占師の最後の統率者の予言。経済を仕切る最後の統率者の名前。
マヤと呼ばれる占師の終末の予言。2000年の終焉を日付まで正確に。
そして次の章には歴史が書き記されていた。
『第二:歴史の章
これは、1300年までの歴史の想像、そして1300年以降からこの本の出版(1999)までのこの世界の在り方を記したものだ。』
まとめると:
魔法の初まりは700年ごろ。
1300年まではごく原始的な暮らし。
1310年あたりに最初の国が設立。
500年もの年月をかけ、発展していく国々。
また、その後の100年の間の産術革命。
そして10年にも及ぶ戦争とその末の和平。
50年の発展の兆し。
とその最後の20年間ほどには落ち込む活気が記されていた。
最後のページには冊子が挟まっていた。
それには2000年から2008年までその年起きたことが一枚ずつ書いてある。
「2009年は、終わらなかったのか。」
なんだか気味悪いな・・・。
最後の本を手に取り、表紙を眺める。
「13の必需の歴史」
1ページ目。
開いて最初の数頁に軽く目を通して・・・
そっとその本を閉じる。
思い出した。
この本は自分がある目的のために書いた本。
「贖罪の本だ。」
世界が終わったのは自分たちのせいだ。
歴史的な何かと伏線をチラチラっと☆
(伏線って言わないほうがいいのかな・・・。)
感想お待ちしています!
次話はクローイの視点からのお話。