第3話 12と1つの必需品 - Thirteenth Necessity
さて、伏線だらけの3話ですよ・・・。
ネセシティとは?
そして、そこに隠された本当の意味は、この世界の本当の必要性は?
あなたの目がそれを見定める唯一の必需品です。
12と1つの必需品とは・・・。
“ 遠い昔、まだ何もなかった頃。
誰かもわからぬ一人、ただ無の中を彷徨うものが在った。
それは寂しかった。だからそれが見守るものをそこに存在させようと決めた。
まずはそこに空間を広げた。そこで何かが在るために。
そして時間を始めた。そこで何かができるために。
そして粒を蒔いた。そこで何かが必要とするものを。
そこにはまず命が生まれ、芽生えた。命は愛を。
その命らは愛を目的とした。愛は命を。
それらは広い世界の片隅で向こう岸を想い描いた。
また、それらは学び、運命を深く信じた。運を知恵で知る。
また、それらは偶然に知識を手に入れる。知識は運が運ぶ。
そこで命らは造り上げた。小さな世界を。
命らはそして間違い、誤りが生ずる。
これを命らは記して憶え、繰り返しを拒んだ。
いつか、命らは標に達し栄える。
いつか、在りしものは必ず滅びの道をたどる。
そして全ては次へ廻った。”
「そして、私たちはこれらを擬えたものである。」
最後にケイロスが付け足す。
「腑に落ちない部分があるわ。というのも・・・なぜか話したことがある気がするのだけれど。」
はじめに口を開いたのはニコラであった。
「私達がこれに沿い象られたものであるのならば、それぞれがお互いと関連・・・というか重なる部分があるようね?例えば、運と知識が妙に被っていたり・・・。」
「そのはなし、なんかしたことあるねー。」
ロエルがその隣で退屈したように宙を仰いでつぶやく。
「まあ、そこはいずれ思い出してくるわ。それより、もう一つ。」
クローイはその疑問を遮るように、手を前に差し出す。
「見てて。」
一瞬クローイの影が揺らいだ。
そしてその後、元いた場所から消え、ロエルとニコラの後ろに移動した。
「開けてビックリ玉手箱ですわ・・・。」
デイナは感嘆の声を上げる。
「褒めてるのかしら・・・?さて、私たちはそれぞれ自分の使命にあった能力を手にしている。」
自分の席に戻りながらクローイはケイロスを見やる。
「そしてここの図書室から文献を漁った限り、どうやらこの世界では古来より広くで魔法技術とやらが使われてきたらしい。地球で暮らしてきた経験からは到底想像もできないが・・・。」
と、ここで不意にエリオスが口を開く
「記憶はあるのーにねえ!覚えているはずなのにあっちでの記憶を大事にしすぎだよお。ねえ?メモールさんー?」
突如話を振られ一瞬驚いた表情をしてメモールは口を開く。
「私の記憶では鮮明にすべて覚えている。ただし、すべての出来事を思い出すことは不可能。この世界の記憶はなんでか9年前までしかないみたい。でも、プロスプが言ってた。私がすべてを忘れただけって。」
「そんなことは聞いてないよお?」
不機嫌そうに顔をしかめてエリオスは天井を見上げる。
「ほらあ、歴史とか魔術とかはぜえんぶ本当はしってるでえしょってこと。」
「とにかくっ・・・。」たちが悪そうにクローイはエリオスを睨む。
「各自散開して今回の事象についての調査を。私達賢者はここに残ってこちらの世界のことを調査するわ。」
「また、ある程度の情報を獲得次第、ここへ戻ってくるように。」
最後の13人目はどこへ?
この後、分岐点となります。
話数ごとに視点、つまり主人公が変わっていきます。
好きなキャラだけを読むもよし、全部を読んで考察するも良しです!
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