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【ブループリント】12と1つの必需品(ネセシティ)  作者: りゅでぃあ
第2章 - Training & Kingdom
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第20話 息と思考の創造 Creation From

つくりあげるということは。

-獄炎の間-


扉を開いたときから溢れる熱気。


溶岩に怯えながら少しずつ奥へ進む。


突如、岩の割れ目からマグマで体を覆う体の長い甲虫が這い出る。


そもそも命ならば、存在できない場所。

・・・普通の命であれば。

しかし、こちらも条件は同じ。


「むかでさん、おはよう。邪魔してごめんね。」

自分の声じゃないみたいな、突然口を滑り出た声に少し動揺する。

その動揺もなぜか安心、満足へと変わっていく。

「おいで、フェニックス。」

軽く手招きをするとポッと明るい炎が生まれる。


「・・・お久しゅう。リディアさん。」

そして、それは宙に舞い、目まぐるしく色の変わる炎の翼を持った鳥に変わる。

「おひさしぶりだね。フェニちゃん。」

まだ途切れ途切れの記憶の中で、少しだけノスタルジックな感覚に浸る。

「あの人か。だいぶ・・・難しいかもしれない。」

確かに、よく考えてみればフェニックスはここで生存できるだけで、獄炎に生きる甲虫に炎の魔法が効くとは考えにくい。

「そう・・・だね。」

「ここはとりあえず、私の代わりにお気に入りのあの人に任せてみては?」

下手くそなウインクでフェニックスは助言する。

「えっと、わかった・・・!それじゃ、またあとで。」

手を振ると、フェニックスは消えていった。

・・・わからない。

けど、やるしかない。


甲虫はすでに威嚇体制に入っていた。


「おいで、空狐。」

現れた狐は四本の尻尾を持った薄緑の毛皮の狐。

「久しぶりだな。」

「・・・うん!」

少しだけ、泣きそうになる。

「標的はあれか?」

視線を甲虫に向けて空狐は言った。

「うん、お願い。」


突然起こった旋風で、少しあたりが涼しくなる。

「チニカヘレ、空の歪。」

少し歪んだように見えた空間がもとに戻ると、甲虫はグシャグシャに潰れていた。

「安らかに眠れ。ピース・アスリープ。」

久しぶりに使う愛の魔法。

痛みを消す代わりに眠りに落とす魔法。


「ありがとう、空狐。また来てね?」

「ああ、呼べば来るさ。」

少し頭を撫でると恥ずかしそうに目を背ける空狐が、

とても愛おしく思えた。


-迅速の間-


予想はしていた。


高速で舞う蜂が、その部屋の中で待っていた。

詠唱に時間のかかる私の魔術は相性最悪だ。


そんなことも気にせずにとりあえず本を出す。


「炎弾、形あるものを・・・」

しかし、蜂は優しくない。

詠唱の途中、魔法円も書きかけのところで敵は真正面から攻撃に入る。

咄嗟に避けるが魔法円は砕ける。


一番短い詠唱・・・!

「魔を閉じ込め、放つ。ブレット!」

確かに放った魔弾を避け、蜂は背後に回っていた。


突然の攻撃に、回避が間に合わず服が破ける。


・・・そう、冷静に。

正確に。


「調合魔法・・・。」

詠唱を開始すると再び敵は攻撃を開始する。

「綴りしは禁忌。古の叡智を以て魔術を昇華せん。」

魔法円を描く間、蜂の攻撃は止むことはなかった。

しかし、詠唱を止めたりせず、ただただ魔術を唱える。


そして、最後の五芒星を書き終える。

「クイック・アリア。」

青い光が魔法陣から発せられる。


少し蜂が怯んだうちに少し距離を置く。


「さようなら。ワール・ガスト!」


一瞬で書き上がった魔法円は旋風を巻き起こす。

そして、蜂の体を無残に引き裂いた。


急激に魔力を消費した私は、部屋を出て倒れ伏した。


-無の間-


そこは何もない白い空間。


ただ、クラゲがひとつ、浮かんでいただけ。


「面白いじゃねえか?俺はもちろん、無からは何も作れねぇ。」

右手に持ったつるはしをギュッと握りしめる。

「だがなぁ・・・。」

左手をクラゲに向ける。

「何もない場所なんてねぇんだよ。」

次の瞬間、クラゲは粉末と化していた。


いつか。


無から一を創り出せるように。


それが、古からの夢だから。


「はっくしょい!」

なっがくなっちゃったー・・・。


ごめんなさい!お疲れ様です!


さて次回は残りの二人・・・ですね?


はりきってどうぞ!

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