第19話 夢と行方の鬨の声 - Reminiscent Cry
叫び、決められた最後。
忘れてはいけないもの。
-妨害の間-
扉を開ければ蛇。
ことわざみたいで面白い。
なんていう余裕は束の間だった。
5歩ほど進めばいつの間にか背後にいる敵。
振り返り距離を取って、とっさに想像する。
蛇の尻尾まで届く大きな槍のイメージ・・・。
しかしその空想は儚くも蛇の尾の一振りで打ち破られる。
金切り声を上げるような金属音。
出てきたのは割れたガラスのような欠片。具現失敗。
耳を塞げばいつの間にか蛇に巻き付かれる。
身動きがとれない中で必死にもがく。
もがきながら想像する。
極寒を巻き起こす二本の剣・・・。
しかし、まだ続く不快な音に再び空想は白昼夢のように薄れていく。
結局現れたのは幸か不幸か二本の氷の筒。
触れた瞬間に蛇は解き、離れる。
でも、私、運動は苦手です。
ただ息が切れ、戦闘どころではない。
先程より少し大きくなった金属音に虚しさとやるせなさを感じる。
「私は!私の空想は!あなたなんかに負けませんからぁ!!」
少し叫んで見る。
軽くなった気がした。慣れた気がした。
長い体を切り刻む幾千の剣・・・。
・・・それは幾千には満たない、装飾の不細工な剣。
決して、使えないわけではない、私の愛おしい空想。
「私の愛の勝ちです!!」
次の瞬間、蛇は数十個のロールケーキ状になっていた。
辛うじて扉から出た私は、そこで座り込み、短い眠りにつきました。
-巨体の間-
おっきいからだ。
それは空中を浮かぶシャチみたいなやつ。
「でっかー!」
圧倒されて見上げているとシャチが一声鳴く。
「うわー。変な声・・・。」
その一言に挑発されたように、シャチは動き出す。
「よっし!ロエル、頑張っちゃうよー!」
そう言って弓を構えたロエルに向けて、シャチは口を開く。
その口からは大きな泡が吹き出す。
「うおっと・・・。」
ギリギリで避けて確信する。
当たれば怪我じゃ済まない。
「仕返しだよ!」
矢を3本放ち、素早く銃に持ち替える。
「おらおら!」
確実に当たっているはずなのに、シャチは全く傷ついた素振りを見せない。
「むぅ・・・。仕方ないなー。いっくよー・・・!」
久しぶりに真剣な表情をした。
「ラックドレイン!」
シャチに向けて伸ばした手に濃い紫色の靄が吸い込まれていく。
「君に恨みはないよ・・・。でも・・・。」
不意にシャチを見上げると、いつの間にか頭上にいた。
突然、重力に負けたようにシャチのシルエットが大きくなっていく。
「やっば・・・!」
巨体に潰されずには済んだものの体を地面に打ち付ける衝撃で飛ばされる。
少し傷ついた体を、それでもシャチは動かすのをやめなかった。
こっちを見て、狙いを定めて飛びかかる。
そんな攻撃が何回も続き、体力も限界に達しようとしていた。
「負けちゃ、だめなんだああぁ!」
なんでか、叫びたくなった。
負けられないと思ったから。
矢を連射し、銃を数発撃ってから、またシャチが宙に浮く。
少し笑みが溢れる。
最大の賭け・・・。
たまらないね。
「ラック・すぺしゃる・オーヴァーロードー!!」
少し薄い光りに包まれた体をまっすぐに正す。
シャチの巨体がすぐ真上まで迫っていた。
そして、潰される瞬間に。
巨体は裂けた。
-大群の間-
狼の大群がゲリラ戦法を繰り返す。
でも、今はそんなことどうだって良かった。
「記憶魔法、シェアドメモリー。」
赤紫色の一本の線が狼の頭に繋がっていった。
一番近くの狼を大盾で殴りつける。
すると、周りの狼も共に痛みに倒れる。
「ごめんなさい。でも、しなくちゃいけないことがあるから。」
今、私が知らないことがある。
それはいつか私の中にあったもの。
一度見て見ぬふりをした。
何か、忘れていることかもしれないから。
遅れましたごめんなさい!
本当にごめんなさい!
なんでもします!(なんでもするとは言ってない)
さて、遅れてしまいましたがタイトルで誰かわかった方いらっしゃるかな?
デイナは初戦闘!ロエルも体を張った戦いでした!
次回は!
頑張って今日の夜までにあげます・・・。
コメント、評価、待ってます!




