第1話 魔女らと人の超前世転生 - Planet Suction
第1話!
視点をお手玉しながら話を進めて、わかりづらいところ多いと思いますが・・・
こういったことは!今話で!最後になる!ように!頑張ります!
さて、準備はいいですか・・・?
人間であることの必需事項。
ここから先はあなたの選択です。
窓ができた。それもとても大きなのが、ひどく歪んだ空を映していた。
「強度に問題はありません。安心していつもの空をお楽しみください。」
そう、工事のベールを剥がしながらシェルターにアナウンスが響きわたった。
でも、違った。明らかに前に見ていたいつもの空ではなかった。
どす黒い不安をかき混ぜたような分厚い雲の奥で、白く絶大な光の束が、まるで地球の隣を泳ぐ大きなクジラみたいに僕たちを威圧していた。
心配のどよめきの中で視界が薄く緑に点滅した。
そして一瞬、パキッと窓が光ったあと、全部が陽炎みたいに大きく揺らいでいた。
その時、確信したんだ。
もう戻れないって。
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落ちていく。
でも上に引っ張られている感覚。
それでいて、今にも切れそうな一本の糸で心が引っ張られているような。
それを感じているのが自分じゃないということだけはわかる。
つまり、今この瞬間、自分の体はここにないということ。
ぱちんとシャボン玉が割れたみたいな感覚のあと、視界がはっきりしていく。
目の前に見えるのは自分を取り囲むようにして連なる本の山、そして滅茶苦茶な一枚の水彩画。
立ち上がろうとして尻餅をつく。
背後のアンティーク調のベッドに、それを飾る赤茶のビロードに縋るようにして膝を床につける。
ようやく両足で立ってよろめいた拍子にふと思い出す。
ここ数日歩かずに本を読んでいたんだった。
「誰が・・・?」
いや違う。たしか私はシェルターにいて・・・。
鏡を探して数十歩歩く。
不思議な感覚・・・。始めて見たはずの部屋なのに、その形や配置についてがぼんやりと分かる。
縦長の八角形の鏡を覗くと、そこには自分のようで自分じゃない人物がいる。
深い海の色をした髪の毛は後頭部の高い位置で一つに結ばれている。
髪の青を掻き分けるほど明るく情熱を宿した赤色の瞳が浮かぶ。
その顔立ちは、普段見慣れた顔とは似ても似つかず、幼さを拭いきれない大人の女性のものだ。
「でも、知ってる・・・。」
私は・・・
「知恵の魔女、ニコラ。」
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ねちゃってたのかな・・・?
もうシェルターはあきちゃったなぁ・・・あれ?
おもしろそうなゲームがいっぱいに、へんなけーたい?とふぁんきーなおへやたち。
まちがいなくロエルのものだけど・・・。
「・・・んん?しぇるたーってなんだっけ?」
水色のキラキラのあとに・・・。いや、そのまえに・・・?
あ、このつくえ、てんばんのガラスと宝石がきれいですきなんだぁ!
「きれい・・・。これが、ロエル・・・?」
そっか。
運良くロエルはまた・・・。
「運の魔女、ロエル。」
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世界は終わりを見たのです。
そのはずだったのですが。
私は確かにここに存在して、さらにはいま、私はまた違った世界にいるようなのです。
これが俗にいう異世界転移という・・・。
どうやらここは開けた草原に浮かぶ湖のほとりのようです。
そして水面に映った私はまるで私の生き別れの姉のような、そんな雰囲気を持った私ではない誰かです。
いいえ、想えばそうですね・・・。
この姿こそ、私の・・・
「空想の魔女、デイナ。」
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「こー・・・ぃ・・・!」
もう会えないなんて・・・いやだ・・・!
・・・違う・・・生きてる・・・?
「息・・・ある・・・。」
じゃなくて。
僕は・・・どうなったの?
明らかに・・・自分の体ではない。
それは分かるし喜ぶことなんだけど・・・。
ここは森の中のようだ。
木の生い茂ったジメッとした空気に風に乗せて聞こえる鳥のさえずり。
何故か愛おしさが蘇る。
そして・・・。
「・・・ただいま」
なんでだろう・・・こんなにもなつかしい。
僕は・・・いや、私は・・・。
「命と愛の魔女 リディア」
そう呼ぶ声がした。
・・・・
「全魔女に告ぐ。我々賢者らは覚醒後、状況の整理を試みている。直ちに心の塔に集い戻り給え。」
魔女たちそれぞれの近くに転がっている黒い長方体の端末から声が発せられる。
「えーっ、かくせいって、うおぉぉー!ってやつー?」
「何を言っているの、この子は・・・?」
「目覚め・・・。私達の新たな目覚めのお話です。」
「えっと、状況が把握できないんですけど・・・。」
「だからこそ集えと命令した。」
「ご、ごめんなさい」
いきなりすぎる招集に魔女たちは驚きを隠せずも、各々の足取りで『心の塔』へ向かった。
それぞれ、自分の使命を見つめながら。
1話を読んでいただきありがとうございます!
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