第18話 化学と栄の受けた誤解 - Fleeting Stage
誤解、その理由、一瞬の物語。
-枯渇の間-
この部屋はどうやら魔術系統のもの、魔力やら魔術の威力やらが減っていく部屋らしい。
「こんなの誰だって不利になるよ。」
まあ、相性は別として。
そこに高々と聳え立っていたのは一本の食肉植物。
不気味な腐肉みたいなピンクと薄茶色の花びらと口から見える牙。
決して難しいものではなかった。
そっと両腕を曲げて、肘掛けに置くようにスタンバイする。
次の瞬間・・・。
僕の勝利だ。
何もいなくなったその部屋、扉からカチッと音がする。
まあ、肩慣らしにはなったかな。
-氷結の部屋-
部屋に踏み込むと冷たい空気に包み込まれ、雪国の景色が目の前に広がる。
およそ氷点下20℃。
後ろでひとりでに閉じた扉に鍵がかかる音がする。
吹雪の奥に見える大きな毛玉。
あれが今回の獲物みたいだ。
さて、獲物に向かって歩み出すと改めて肌寒さに縛られる。
意外と人の話はちゃんと聞いているみたいで安心したよ。
そうだね、化学反応は低温度では起こりにくい。
ただし、飽くまでも起こりにくいだけだ。
そっと目の前で獲物を狙うような目で迂回する巨大な狼。
どうやら獲物がどちらか、誤解しているらしい。
突然、獲物がこっちへ飛びかかる。
まあ手始めに・・・。
獲物の飛びかかりを避けた後、周囲に5つの水玉を浮かべる。
混乱して動けなくなる獲物を横目に5つの大きめのかけら・・・慎重に透明の袋に包まれたそのアルカリ金属を投げつける。
その欠片たちはそれぞれ水に落とされ、袋が少しずつ溶けていく。
そしてもう一つずつかけらを投げ入れる。
これが、
「反応化学・カタリスト」
それは少しオレンジ色の爆発。
「少し小さすぎたかな、欠片が。」
少し怯んだ獲物に最後の罠を仕掛ける水で象った僕のシルエット。
それは少し刺激的すぎる酸と溶かした僕の魔法。
さようなら、子羊ちゃん。
獲物はそれに飛びかかる。
水が破裂して獲物の全身にそれは飛び散る。
ごめんね。
溶け出した傷口が凍り、傷の再生を止める。
おやすみ。
・・・誰も覚えていない。
僕の魔術の本当の価値を。
-暗闇の間-
そこにはたくさんのコウモリがうちを待っていた。
そのコウモリが見えなくてもうちにはわかっていた。
「そんなに弱くないもん。」
多分、幻術かなにかだけだと思っているのだろう。
でも違うよ。
ロンの魔術は・・・。
ぽたぽたという音あと、
血の海の中でコウモリの死骸が浮かぶ。
視覚だって、
聴覚だって、
嗅覚だって、
身体機能だって、
痛みだって、
心だって、
記憶だって。
すべて認識だから。
それはうちが変えられるもの。
間違えているかなんて、誰にだってわからない。
うちにとって自分は正しいもの。
それを、学んだ。
だけど少しずつ、
ヒトのモラルに染まっていたんだろう。
王国の人、たすけなきゃだね?
すみませんんんん!
報告忘れてました!
今日と明日投稿遅れます!って言おうと思ってたんだけど・・・。
今日もう終わっちゃう☆
・・・反省してます。
さて、今回は意外な人にスポットライトが?
そして次回は、・・・誰にしよう。
明日も少し遅くなります!




