第15話 知恵と運の違ったこと(2) - Luck Theory
知恵と運が持つ違い、その奥深くに眠る同じ願い。
あーあ。
せっかく気持ちよく寝てたのにニコラにじゃまされちゃったー。
まあ確かに何かしたほうがいっか。おさんぽおさんぽ。
・・・
戦争後初めて家を出る。
そーいえば、ファテマ街はロエルのしょゆーちなんだっけ?
ちょっくら顔でもだしてみるかー。
街の中へ進むと気づいた人みんなに声をかけられる。
「ロエル様ー!お久しぶりでーす!!」
「あー、ロエル様だー!」
「ハロー、みんなおひさー。」
みんな元気だね。
一人ひとり顔もちゃんと覚えてる。
ふと、道の脇に細い通り道が見える。
何となくそこで曲がってみると、綺麗なディーラーのお姉さんがこっちを見ている。
「おぉー、ダーラじゃーん。おっひさー。」
「ロエル様!ご無沙汰してます!」
「この前は大丈夫だったー?」
「はい。ロエル様もご無事で何よりです。今日はどういった御用で?」
「えっとねー。何かしろってニコラに怒られちゃったからおさんぽー。」
「そうでしたか。ニコラ様とは相変わらずのようで・・・。」
苦笑いをしながらダーラと呼ばれた女性はロエルと話せることが嬉しそうだった。
「で、最近どんな感じー?」
そう言ってロエルはダーラの顔を覗き込むように首を傾げる。
「そうですね・・・。私は・・・向こうでいろいろなことを学びました。」
「向こうって?・・・あぁ、地球か。ロエル覚えてないんだよねー向こうのこと。」
「そうなんですか?何も思い出せないのですか?」
「うーんと・・・。」
頭を抱えたり首をひねったりしてみるけど思い出せない・・・。
そもそも思い出し方がわからないのかも?
・・・うん!覚えてない!
そう顔をあげようとしたとき。
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おねえちゃん・・・。僕ね、大人になったらお姉ちゃんと一緒に暮らしたいなぁ。
きれいな家を買って、車も一台ほしいな・・・。
犬とか猫も飼ってさ。
・・・泣かないでお姉ちゃん。
大丈夫だよ。お医者さんの言ってたことなんて気にしちゃ。
明日でお別れなんて、僕は絶対に嫌だし、お姉ちゃんを一人置いていったりしないよ?
だから笑ってよ。ね?
笑顔のお姉ちゃんが一番大好きだよ!
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「おねーちゃーん!」
街の小さな男の子の声が遠くで聞こえる。
突然、ロエルの瞳から涙が溢れ出す。
「ロエル様!?」
「あ、あれ?なんでだろうね?」
何も思い出せないはずなのに、なんでか涙が・・・
止まらないよ・・・。
きっと大切で、忘れたらいけないものなのに・・・。
絶対に忘れないって誓ったはずなのに。
それだけしか思い出せなくて、何か自分の一部がかけてしまっているようで。
思い出せない、知らない運命に与えられる幸せなんて
きっとただの作り物だから
嬉しくなんてないんだよ?
前書きは決して手抜きではありません!
遅れました、違ったこと(2)です!
まあすでに話の流れで想像がついた方もいらっしゃると思いますが
とりあえず(3)で違ったことをしめますよ!
その次はどこに行こう・・・。
この人関連の話が見たいって言うの教えてください!




