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序章 -最後の窓と魔女の追憶-

シリーズ1本目となります。


序章は読まなくても1話から楽しめるようになっています(予定)ですので飛ばしていただいても構いませんが今後のストーリーのためにある程度伏線(少ないですが)も散りばめてあるので趣味でお読みください!

ざわめきは音の不一致、また発音のズレによって生じる。

しかし、そのざわめきが一つの感情を共有していることは感じて取れた。

在りしものは何時か滅びの道をたどる。

幾度となく繰り返された理の前で、或いは例外となるのならば、星は恵まれすぎていた。


 --

命は愛なのだろう。


こんな悲惨な状況でだっていつもみたいにあの人のことが頭をよぎってしまうのは。

叶わないって割りきって2年。割り切れていないもやもやを抱えた、2年。

変わりすぎてしまった世界でも僕は変わらないんだなぁ。

「汝の選びを愛しなさい、かぁ・・・」

選んだ命は。


 --

ぽつり・・・雨です。窓すら見えないのだけれども。


このようにして鉄骨の空を見上げていると、その薄暗い鉄の色から、まだこの惑星に私は存在するのだと確かに感じるのです。


この世界の悲鳴の奥深くから芽吹く、新たな息吹を、密かに巡る胎動を、微かながらに私は予感しています。


そうです。この空想の結晶こそ私の証。


「我想う、故に我在り」


本当の意味こそは、知らぬのですが。


 --

ダイスって、ふえればふえるほど、運がわるくなる気がするよね


だって、もしひとりの運がわるいとして、それでこのせかいの運がみんなの運でかわるなら・・・

たくさんのすうじがあればあるほどいい目は出なくて・・・

あれ?・・・うーん。 やっぱりわかんないや


「運は天にあり!」

わからないことはかんがえてもしょーがない!


 --

「昨晩も異常気象の発生が相次いでおります。外出の際は十分にお気をつけください。」

公共のテレビからニュースキャスターの声が機械じみて鳴る。それに共鳴するように近くの布団の束で誰かのうめき声がする。


シェルターの中ではこればっかり。逆に恐怖の種を植え付けていることなんてきっとわかっていない。

「知らぬが仏ってね」


・・・・・

空から見下ろせば人工衛星のように羽を広げている、巨大な避難施設。

建てられた当初、光をたっぷり映していたその白い壁も、すっかり風化してくすんだベージュ色になっている。

屋根の鉄でできた一枚板も、錆びずとも鈍く濁った色になった。

その壁の向こう側では様々な感情が交錯していた。


台風、地震、津波、山火事。

天変地異とも思われるほどに自然災害の発生頻度が高まる中、世界の人々が全員避難できるような楽園を。

それが『シェルター』と呼ばれた、この施設の目的だ。


そのシェルターも、世界中から人々が集いはじめて数ヶ月ほどして、単なる避難施設では考えられないほどの快適な暮らしを提供するために大きな発展を急速に遂げていた。

ショッピングモールのように売店が並んでは消え、長い廊下にトラベレーターを設置してみたり、装飾が凝らされたバスタブを作って、個室で入浴できるようにしたりと、地球上のすべての技術力がシェルターの開発に尽くされた。

少しでも元の暮らしに近い、むしろ以前よりも快適な生活を送るため、幾度かの試行錯誤を繰り返した末に、シェルターは完璧なまでになっていた。


最後に一つ、足りないものといえば陽の光を注ぐ窓だ。


そして今、それは完成を目の前にしていた。

さてさて、準備はいいですか?


始まりますよ!


人間であることに必要で欠けてはいけないもの。

あなたはどうしてみたい?

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