ゆきあとあ2
そうして、臥玖斗は姿を眩ました。
彼の行方は誰にもわからなかった。軍の情報部も探りきれない。彼を教えた上官さえ、お手上げだと云う。
一度、二日間に渡って家が捜索されたが、手がかりはなかった。
隣国との小競りあいは国境近くでつづいてたし、国内の反王勢力の動きも警戒が必要だった。そのなかで臥玖斗は貴重な戦力だった。
なぜ彼がいまいなくなったか様々な憶測が飛び交った。新聞もいろいろ書きたてた。
裏切り者だ、と云われた。
大事な時期に軍を離れ、しかも情報も全くないから。
残された斗愛たちはさびしい思いをした。母は父から何も聞かされていなかった。
家は連日野次馬や記者に囲まれ、外出できなかった。鳴りやまないので電話線を抜いた。
家の外に知らないひとがたくさんいた。慧衣は怖がって、父の書斎に閉じこもってた。
斗愛は慧衣のそばで窓を眺めてた。カーテンは閉めきってあり、空は見えない。森に行けるだろうか、いや。行けないだろう、こんなに注目されてたら。雪亜は森に来てるだろうか。そればかり斗愛は考えてた。そわそわした。
雪亜と遊びたい。も一度、森に行きたい。
斗愛の胸はきゅーっとしてた。