もう少し話すことあると思うけど、テツヤなことしか話していない
俺(修三)は携帯電話(かなり旧式のガラケー)を取った。
陽介が出た「やあ」
「テツヤだよ♪」
「カスが」
「ぼ、僕はエヴァ○ゲリ○ン初号機パイロット!山本テツヤです!」
「ああカスだね。それでブラパ?(インドネシア語でいくら?の意)」
「っはああああ・・・さすがに今日は(スロット)負けすぎたよ」
「うっひょー、君が負けるなんてそんな馬鹿な♪」
「・・・嬉しそうだな、この、クソ野郎が!」
「うひ、嬉しくなんてないよ。それでブラパ?5?5?6♪7♪8♪9♪まさか10!」
「ひ・み・つ」
「ええ?言おうよ♪卑怯だよ、いっつも俺は正直に話しているっていうのに」
「それはそれ!これはこれ!っていう名言があるだろ」
「じゃあせめて5より上か下か?それだけでも教えてよ」
「言わない」
「5?」
「さあな」
「6?」
「さあな」
「7?」
「むぐぅ」
「そうか7か。頑張ったな、友よ。ちょっと傾いちゃったんだよね」
「傾きすぎだよ!カスが!まったくなんの見せ場も無かったな。ちくしょう・・・あああ、こんなことやってたら駄目だな・・・もうやめよう。はあああ、金、くれ」
「あっはっはっは、やだよ」
「良いな君は。悩みがなさそうで」
「はっはっは、ひどいな、悩みくらいあるよ」
「例えば?てっちゃんとか?てっちゃんとか?てっちゃん大好き!とか?」
「てっちゃんしか言わないな。悩みは仕事のこととかだな」
「てっちゃんとはまだ会ってないの?けなしあい宇宙メールばっかり?」
「そうだな」
「会社で会ったりしないの?」陽介とてっちゃんは幼馴染で関西の工場の同僚。
「部署が違うからなあ」
「廊下ですれ違うこととかあるんじゃないの?」
「最近無いな」
「それはいかん。じゃあ再会した時のリアクション、練習するか♪」
「カスだな」
「ダダッダッダッダッガシッ!てっちゃーん!君のためなら死ねる!」
「死ねんよ!毎回それだな」
「じゃあ、今から行こう!いきなり彼の自宅に押し掛けて問答無用で窓から入ろう。鍵かかってたら割ってもいい。てっちゃんに『テツヤー!』って抱きつこう」
「あっはっはっは!それ逮捕されるよ」
「まだある。もしも彼が部屋にいなかったら、だ。押し入れに隠れて彼が帰ってくるのを待つんだよ」
「ぷっ、それで?」
「彼が寝静まるのを待ち、彼の寝顔をそっと見守る」
「それから?」
「帰る。痕跡を残さずに」
「あっはっはっは!意味が分からない」
「それはあれだ。僕の愛しい人が生きてこの世にある!それだけで俺は生きていける!ってことさ」
「別に愛しくはない」
「つまり殺したいくらい憎い、と」
「そんなことないよ」
「じゃあ結婚してもいいくらい好き、と」
「極端すぎるよ!選択肢はそれしかないの?」
「無いな」