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神様の仕事

作者: 緑瑠

初投稿です。かなり短いです。

あらすじにもありますが、読む人によっては不謹慎だと思われる要素があります。注意して下さい。

読んで何か感じた事や指摘等がありましたら、是非感想お願いします。

 ファイルを選択、削除しますか?、はい。

 ファイルを選択、削除しますか?、はい。

 ファイルを選択、削除しますか?、はい。

 ファイルを選択、削除しますか?、はい。


……これが僕の仕事だ。パソコンの中にあるファイルを毎日一定数削除する、単純な作業だ。

 だが、単純だから簡単という訳でもない。なんせ七人係りでやっと一日分のノルマを達成できるという時間の掛かる仕事なのだ。それに一つ一つ手作業で消していかないといけず、ファイルの一括削除は基本的に認められていないという鬼畜仕様。

 それ以外にも制約があったりするが、この決まりのせいで地味にストレスがたまる。単純作業を繰り返している事や長時間椅子に座りっぱなしであることが精神的苦痛を生むのだ。

 またこのファイルのプログラムは二つのファイルがデータを共有することで、元の二つの親ファイルの特性を持つ子ファイルを自動的に生成するという、簡単にいうと放置していると自己増殖していくファイルなのだ。それによって毎朝仕事用のパソコンを立ち上げて、総ファイル数を確認すると「え? あれ?昨日あんなに消したのにおかしくねぇ?? えぇ?」と、直視したくない現実を突きつけられるのも大きなストレスの原因だ……。 

 ……あぁ、そろそろ頭の中で愚痴るのをやめて仕事に取りかからないと……。僕は同僚六人の誰よりも総ファイル数とノルマが多い担当フォルダ、通称「ユーラシア」を開く。このフォルダ中のファイルは一つ一つの削除に必要な処理時間が特に長い。具体的にいうと、俺の隣の席の奴が担当しているフォルダ「アフリカ」は一つのファイルの削除に三秒しか掛からないが、「ユーラシア」は一つ七秒も掛かる。フォルダ内のさらに細かい区画である「日本」では七秒かけて削除しても、たまに復活していたりする。

 少し前までは削除の後に復活したりしなかったが、ファイルが増殖する度に少しずつ削除への耐性を付けていっている様な気がする。

 だいぶ昔にフォルダが急に増えたことによる特例として、コード「黒死病」っていうのが発令されて、全ファイルの三割が一括削除されてたけど、最近のファイルの増え方はそのときの比じゃないぐらい速い。

このままじゃパソコンの容量の限界を越えてしまうかもしれない。削除されにくいように増殖していたのに、そのせいで入れ物を自ら壊してしまうなんて、何とも皮肉だと思うが……。

 まぁ、ただのファイルに感情移入なんてしないが、パソコンの限界まで増えないようにがんばってファイルを削除しよう。そうだ、最近の「ユーラシア」のファイル増加数は割とまじめに危ないから部長に一括削除申請しておこう。コード名は・・・・・・そうだな、「大震災」とでもしておくか。対象は「中国」か「インド」・・・・・いや、しぶとい「日本」にしよう。

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