これからもよろしく
「もらったわよ。営業許可書」
左腕を吊ったままの私は、常連が溜まっているカウンター席に座り、いつものブレンドを注文した。
マスターは「おめでとう」と言いながら、コーヒーとスコーンの乗った小皿を出してくれた。
「マスター、ありがとう」
私は上機嫌だ。営業許可書も取れたし、ヴァンパイアを倒した分だけでなく、ワーウルフの分まで報酬が出たのだ。消費した弾薬の分と私の治療費を差し引いても、ずいぶんと懐が暖かい。
やっぱり、懐が暖かいと心にも余裕が出来るわね。「うふふふ」と含み笑いをする私から、カウンターに座っていた常連連中が、何か危ないものを見る顔をして距離を取る。
「一体何をしているのだか……」
いつの間にか、私の真後ろに立ったレイが、あきれたように呟いた。
「きゃっ、音もなく後ろに立つのはやめてよね」
「ほい。『斬』の店長からお祝いだと」
レイは、小さな小包をくれた。早速あけてみると小さな拳銃が入っていた。
「わぁー、ダブルデリンジャーだ。欲しかったんだこれ」
私の言葉を聞きながらブレンドを注文したレイは、私の手の中にあるデリンジャーに視線を向けた。
「なあ、秋穂ってガンマニア?」
「いきなり何よ」
「いや、事務所にも20丁ほどあるだろう」
「全部、携帯許可は取っているわよ」
「否定はしないわけだ」
確かに否定できないが、あっさり認めるのも、なにかくやしい。
「さあね。そのうち分かるわよ。はい」
私は、レイに銀行の通帳を渡す。
「なんだ?30万クレジット……」
「今回の給料よ。これからもよろしく。ってこと」
「ああ、こちらこそ」
私はニヤリと笑みを浮かべた。
「それでは、ここの支払いはレイのおごりね。マスター、スペシャルチョコパフェ(1200クレジット)追加ね」
私は、レイの額に伝票を張り付けた。
第1話 完
ヴァンパイアハンター日誌の第1部終了。
最期まで、お付き合いありがとうございました。
この後、第2部の予告編があります。宜しければまたお付き合いお願いします。




