決着
倒れたままの秋穂が、CZを連射するが、ヴァンパイアの腕に1発当たっただけだ。銀の弾丸でも、急所に当たらなければ意味が無い。
屋上から飛び出そうとしたレイの肩を、アルセクトが掴んだ。
「まだ、彼女は諦めていない」
レイがアルセクトを睨む。
「離せ。これ以上は我慢できない」
アルセクトは、あっさりレイの肩を離した。
「まあ、約束だからな」
レイが屋上から飛び降りた。アルセクトもそれを追う。
ヴァンパイアと秋穂の間にレイ。ヴァンパイアの背後にアルセクトが降り立つ。
「邪魔をするな!!」
ヴァンパイアが吼えた。
「そうはいかなくてね。彼女をやらせる訳にはいかない」
金色の瞳をしたレイが秋穂を守るようにして立つ。
「貴様はやりすぎた。ここで始末させてもらう」
アルセクトが静かに告げる。
ヴァンパイアが笑った。
「原種と主人か。だが、戦い方によっては……」
ヴァンパイアは、右手に持ったグロッグをレイにむける。グロッグは秋穂のものだ。
「便利な道具は、使わせてもらわないとな…… ぐっぐわわわぁ!。な、なんだ?こ、小娘!き、貴様、何をした!」
ヴァンパイアの右腕が、グロッグを握ったまま、白い煙をあげてポトリと地面に落ちた。あっという間に落ちた腕が溶け、赤黒い液体に変わる。それだけにとどまらずヴァンパイアの全身から白煙が上がる。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ、あ、熱い。身体が…… 俺の身体が」
ヴァンパイアの顔が溶け崩れる。そして、赤黒い液体が地面に滴り落ちた。まるで、映画でも見ているような光景だ。3分後にはヴァンパイアは跡形もなく溶けてしまった。
「……どういうことだ?」
アルセクトが呆然として、レイに訊ねた。
「さあな。心当たりがあるとしたら、CZには試作品の銀の弾丸が装填してあったはずだ」
レイは秋穂を抱き起こしながら言った。痛みで気絶しているその右手には、投げナイフがしっかりと握られている。
「無茶をする。これで戦うつもりだったのか秋穂」
秋穂を見つめるレイの顔は優しい。
「なかなか、気の強いお嬢さんらしいな。レイ、覚えておけ。美月はもういないぞ」
「わかっている……」
アルセクトは、にやりと笑った。
「私のねぐらは昔と変わらない。気が向いたら訊ねて来い」
「いかねぇよ」
レイが返事を返した時には、アルセクトの姿は無かった。遠くからパトカーと救急車のサイレンの音が聞こえた。
今回はラストまで連続更新です。




