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白い天井


ズキン、ズキンと心臓が脈打つたびに激痛がはしり、意識が飛びそうになる。気絶したら楽になるのだろうが、気絶したら目を覚ます保障はない。

勝負は1度きり、チップは自分の命…… 手札は銀のナイフが1本。それが、私に残されたすべてだった。




 ガバッ!起き上がった瞬間、激痛が襲う。痛みに耐えかねベッドに倒れ込んだ。

 白い天井に清潔なシーツ、消毒液の臭い…… 病院のベッドの上だ。

 あれからどうなったのか、思いだそうとするが、まったく思い出せない。

「秋ちゃん。気がついたの」

 声がしたので、入り口を見ると秋保さんが、立っていた。

「びっくりしたんだから。目も覚まさないし」

「秋保さん。私、どのくらい寝ていました?」

「半日ぐらいよ。もうすぐお昼よ。あとの事はレイ君に聞いたほうがいいわ。今、呼んで来るわね」

 秋保さんは、病室を飛び出して行った。そんなに、急ぐ事無いのに。

 私は、ため息をついて目を閉じた。




「と、溶けた?!」

 その時、私があげた声は、物凄く間の抜けたものだった。

「そっ、ヴァンパイアが急に苦しみ出したと思ったら、溶けた。それはもう、ホラー映画のように」

 レイは、説明を続けるが、私は半分も聞いていなかった。……溶けた。……そんな話聞いた事無い。硫酸のプールに突き落としても復活するような連中だ。

「何で?」

 私の呟きに、レイが反応した。

「斬の店長に、試作品の弾丸もらっただろう。多分それのせい」

「CZに装填していたヤツね」

 確か、1発だけ腕に当たったはずだ。

「店長に聞いてきたのだが、あの弾丸な。弾頭が中空になっていて、中に聖水をジェル状にしたものが詰めてあったそうだ」

「……」

 本当だろうか?どっちにしても、今回も運がよかっただけらしい。

「とりあえず、斬の店長さんが命の恩人という事になるのかしら?」

「さあな。見方を変えれば、実験に使われたとも見える」

 レイは、苦笑した。

「結果、命が助かったのだし、礼ぐらい言っても損はないわよ」

「なかなか、したたかだな。恩を売るつもりか?」

「そんな事無いわよ。店長さんの良心が、どう感じるかなんてわからないもの」

 レイは、少しだけ困った顔をした。

「怖い奴……」

 レイの呟きを私は聞き逃さなかった。


今回もお付き合いありがとうございました。


気が付いた方もいると思いますが、エヴァンゲリオンの第2話「見知らぬ天井」の構成パターンを踏襲してます(笑

ということは、次回がヴァンパイア戦の決着です。

次回もお付き合いお願いします。

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