対 ヴァンパイア
「私を駆除すると?」
ヴァンパイアが鼻で笑う。
「人間が一人で?」
次の瞬間、グロッグをフルオートでぶっ放した。はずれた!さすがにワーウルフとは動きが違う。
弾倉が空になったグロッグを懐に戻し、もう1丁のグロッグを構える。残りの弾は装填されている分と、予備弾倉がひとつ。もう無駄撃ちは出来ない。私は背中を向けて走り出した。
背を向けても、いきなり殺される事はないと踏んだからだ。本来の運動能力を考えれば、ヴァンパイアから人間が逃げ切るのは不可能だ。つまり、追い詰められたら戦うしかない。だが、ヴァンパイアが逃げた人間をあっさり殺す事は無い。嬲り殺すのだ。
思惑通り、ヴァンパイアからの攻撃は無い。私はビルとビルの間の通路にもぐり込む。幅は1mも無い。
そして、その先は行き止まりになっている。
「もう、終わりかね。もっと楽しませてくれないと、おもしろくないではないか」
ヴァンパイアは、余裕だ。
私は、無言でグロッグを発砲。ヴァンパイアは上空に逃れるが、急に上から何かを押し付けられるように動きが止まった。前もって、張り巡らしておいたワイヤーに引っかかったのだ。
すかさず弾倉の残りの弾丸を、ヴァンパイアの胴体に叩き込む。ヴァンパイアが地面に落ちた。
私はグロッグの弾倉を取替え、少しづつ近づく、3m、2m、1m。ヴァンパイアは動かない。「ふう」と息を吐いた。と、次の瞬間、目の前が真っ暗になり、衝撃と共に壁に弾き飛ばされ、グロックが手から放れた。
痛い!左腕を見ると、半ばからありえない方向に曲がっている。完全に折れている…… 肋骨も何本か折れたらしい、激痛に視界がかすむ。
「人間どもは、良いものを作ってくれる。防弾チョッキと言ったか」
ヴァンパイアの顔に、嘲笑が浮かぶ。痛みに耐え、腰からCZ75引き抜く。ヴァンパイア頭を狙い、弾倉が空になるまで引き金を引く。
「くッ、はァ、はァ……」
涙で視界がかすれ、心臓が跳ねる。息をするだけで精一杯だ。銃なんて肋骨が折れた状態で撃つものじゃない。反動が激痛として響く。しかも、そんな思いをして、右腕に1発当たっただけだ。
残った武器は、レイの投げナイフが1本とヴァンパイアの足元に転がるグロッグだけだが、この激痛の中グロッグを取り返すようなアクションは不可能だ。残されたチャンスは、止めをさそうと近づいてきた時。
「人間の小娘が、私に手傷を負わせたことは、ほめてやろう。だが、これで終わりだ」
ヴァンパイアが、ゆっくりと近づいてきた。
今回もありがとうございました。
防弾チョッキを着たイロモノヴァンパイアに苦戦中の秋穂です。しかも、左腕と肋骨の骨折に加え銃火器をすべて失って、大ピンチ!
圧倒的に不利な状態ですが逆転なるか!
それでは次回お会いしましょう。




