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たとえば、一匹のアリンコを

作者: 大辺ユズル

日々の不満だったり、物足りなさだったり

それは暗い夜道を歩いてるような感じ

というより、むしろ立ち止まっているような……


でもたまに、何かの拍子に

「いいな」とか感じることがある


それはちいさな感覚なんだけど

満たされない一日にうんざりしていたのか

おれはそれを頼りに、一歩を踏み出してみた


そしたら少しだけ、何かが明るくなった気がした

そのままもう一歩、もう一歩と、ちいさな歩みを続けていると

今度はまた違う「いいかも」を見つけた


それを続けていたら、ちらほらと、他にも見つけるようになった

“今まで足もとばかり見ていた目を、夜空に向けるようになったから”

――そんな感じなのかもしれない


あいかわらず、その一つ一つの感覚はちいさいままで

心から「それが好き」とか「それがしたい」とか言えないけど、

そのちいさい感覚が集まることで、足し算されていくような感じ

あ、でも「やっぱりいいや」って減ってくのもあるね


そこであるとき気が付いたんだけど

その別々の「いい」の感覚たちは、

なんとなく“共通性”のようなものをもっているような気がした


少しずつだけど、はじめちいさかった灯りが

だんだんふくらんでいってるような気がする


たとえば、道ばたで一匹のアリンコを見つけたとして

それについて行ってみたら他のアリンコも見つけて、

さらには行列だったり、クッキーの欠片だったり、

巣穴だったりに辿りつくような


たとえば、地球をはじめ、火星や水星や土星、金星

どれも別々の惑星で、別々の活動をしてるようだけど

その中心には太陽っていうものがある


おれが見つけたちいさな感覚たちにも

その中心には太陽みたいなものがあるのかもしれないし、

なんとなく、それに少しずつ近づいていってる気がしないでもない


きっと人それぞれに、そうゆう太陽みたいなのがあるんじゃないかな

それに近づけたら、日々の生活もぽかぽかしてくる気がするね

でも近づきすぎたら暑いのかな

たまには涼しく日陰で休むのもいいかもね


人がこの世に生まれてきたからには

きっと何か大切なイイものがあるんだと思う

時間はかかるかもしれないけど、

これからもそれに一歩、一歩、近づけていけたらな、と思う

だから今は、今ここから見えるちいさな光を大切にしたいな

といっても、一つの光に執着したら、他の光に気づけなくなりそうだから

そこはむずかしいところかもね

ちいさな灯りを頼りに、いろんなところに目を向けるのがいいのかな


これを読んでくれてるきみにも、なにかちいさな「いいな」が見つかるといいね

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