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第八話:ショパンのピアノと理解不能

ショパンの曲に合わせて、シャーペンを動かす。

ついに明日が、決戦の日――



「オッハー」

坂下に少し古めの挨拶を投げられ、テスト一日目が幕を開けた。

坂下はなんだか嬉しそうだ。

テストなのに?

「なんか嬉しそうだな」

「あ、わかる?昨日ドラクエクリアしちゃってさ!」

…勉強しろよ!

「…テスト今日だぞ?」

「ドラクエの方が大事だ」

きっぱり。

頭に激痛が…

「…留年したりして…」「大丈夫、大丈夫。金を積めばなんとかなるさ」

「裏口かよ!!」

うっかり本気でつっこんでしまった。

「冗談だってーそんな金あるわけないだろー?」

「お前ならホントにやりそうで…」

いかん、いかん。

テストが始まる前に暗記でもするか。


ガラッ


ノートを取り出したところでドアが開いた。

「テストが始まりますので席に着いて下さいねー」

理科担当・翠川の間伸びした声が教室内に響く。

「教科書やノートは見ちゃダメですよーもっともこれから一ヶ月程、覗き魔や、カンニング魔という愛称になりたかったら別ですけどねー」

覗き魔にカンニング魔…赤点取るより嫌かもしれない。

くそう、坂下!お前と話してたせいだぞ!!

仕方なくノートをしまい、坂下を軽く睨んだら、

満面の笑顔とピースで返された。

おのれ、企んだな。



おおっ!

テストが普段より簡単なもののように感じた。ショパンの曲に乗って、シャーペンから答えがほとばしる。

曲は今、ポロネーズ

「軍隊」

から

「華麗なる大円舞曲」

へ。


ふと、前の席の秋庭さんの事を思った。


彼女もテストを解きながら、このピアノの音を聴いているのだろうか


もしそうなのだとしたら


それはとても素敵な、音色だな


僕らの耳にだけ響く、ピアノの音色――



やがて最後の問題に辿りついた。

ピアノは、終曲、

「別れの曲」へ…………




「終わった〜!」

大きく伸びをして、深呼吸。

こうして、僕の勇気を賭けた、一週間のテストが終わった。

「今回の数学はものたりなかったなあ」

大河内がぼやく。

「嫌味だぞー」

「ふふん」

「ムッ」

このぶんだと、大河内はおそらく本当にものたりなかったのだろう。

僕には充分過ぎるほどものたりてたぞ。

「坂下は?」

大河内が僕の反撃を受ける前に、話を反らした。

坂下は机につっぷしたまま、動かない。

「おーい?」

「追試では満点を狙います」

最初から追試ねらいか!!



でも、とりあえず、テストは終わったわけだ。

そして、結果が出て、

30位以内なら…


秋庭さんに……


「蓮ー!どうだった?」

遙の声だ。

「…三話ぶりの登場?」

「は?何それ」

「いやいや、こっちの話」

「それよりテストどうだった?」

「まあまあ…かな」

実はちょっと自信あり。

初めての経験だ。

「ええっ!?」

遙が驚く。

「何でそんなに驚くんだよ」

失礼だぞ。

「いや…だって、長年幼馴染みやってるけど、いっつもだめだーってこう、くたくたになってるじゃん」

「そうだっけ?」

「そうよ!小学校からずーっとそうだったんだから!!」

「よく覚えてるなあ…他人のことなのに」

「えっ」

何故か遙は慌てた。

「いや、だって、その、ねっ?」

耳まで真っ赤になっている。

夕陽のせいだな。

「顔真っ赤ー」

すると、遙はますます真っ赤になって、

「ばかっ!!」

僕の脛を蹴っ飛ばしてきた。

「痛てっ!!おのれ、べ、弁慶の泣き所を…」

「うるさいばーかっ!」

そんなに気にさわる事、言ったっけ?

まったく、女子の気持ちは理解不能だ。


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