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第五話:期末テストと目標

あれから、数日。

僕達は坂下や大河内も交えて、前よりずっと秋庭さんに近づいた。

時々、皆で話をするようになった。

そして、


本当にごくまれにだけど、



二人で。



『告白』。

それは最近、秋庭さんに対しての気持ちを理解し始めてから、少しずつ、確実に僕の頭をよぎるようになった。

まだ、僕にそんな勇気は無いのに――



「はぁー…っ!ついに来た…」

坂下が大袈裟に溜め息をつく。

坂下はいつも異常なくらいテンションが高いから、滅多に溜め息なんかつかない。

となると、こうなる理由は、ただ一つ。

「期ー末テーストーゥ」

坂下が自分で答えを言って、また溜め息。

「どうした、坂下っ!元気ない?」

大河内が坂下に声をかける。

「敵っ!大河内、お前は敵だあああ!!毎回テストの点が良いからってぇーっ!!」

坂下が大河内をきっ、と睨んだ後、おいおい泣き声をあげる。

やっぱりテンション高いかな?

「いやあ、数学ぐらいだよ。ハハハハ」

「バカーッ裏切り者ぉ!うらやましいぞーっ!!」

ちなみに大河内は大の数学オタクだもんで、テストで問題を解けるのが楽しみで仕方が無いらしい。

だけど、大河内は数学だけじゃない。

『必殺委員長』の異名をとるだけあって、毎回トップテン入り。しかも、三本の指に入る。

もちろん、数学はほぼ満点しかとっていない。

…僕には一生かかってもそんな日は来ないと思うぞ。

「…坂下、やるか」

「おうっ!」

「うわっ!お前ら何すんだっ!あいたたたたっ!!」

僕は坂下と共に大河内を攻撃した。

「くそーうらやましいぞー」

「カンペぷりーず!」

「わたたた、やめろってのっ!!」

「蓮、俺達は共に歩んでゆこうぜ…?馬鹿の道をっ!」

おお、と坂下に同意しかけて、ふと思った。


秋庭さんは、頭良いよな、と。

やっぱり、頭悪い男は嫌だろうな、と。


そして、

僕は坂下に返事をせずに、攻撃の手を止めて、スッと立ち上がった。

「蓮?」

「いや、坂下。僕はベスト30入りを目指す」


僕は、きっぱりと、

宣言した。


『え、え、え、ぇえええええ!?』

坂下と大河内がダブルで絶叫する。

「大河内っ!上城はどうしちゃったのっ!?」

「わからんっ、わからんよ坂下っ!フェルマーの定理を解く、数学者の気分だっ!!」「悪かったね」


これから、二週間。


いつもよりもっと、勉強してみよう。


そして、




ベスト30に入ったら。




秋庭さんに告白してみよう。

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