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第二十六話:もらった勇気と電話

 響いていた足音も消えた、薄暗い教室の中。

 僕は遙の何を見てきたんだろう、と思う。

 心中でまた、ごめん、と言いそうになったのを堪えた。大きく息をついて、僕は立ち上がる。

 そうして、玄関を出て、帰路を辿った。遙と鉢合わせしてしまわないように、思い切り回り道をして。

 こういうとき、幼馴染というのは難しい。何しろ、家がすぐ近くで、家族ぐるみの付き合いなものだから、頻繁に会う。

 そう、遙は僕にとって『家族』だったんだ。

 小さい頃からずっと一緒で、「遙って、妹じゃなかったの?」という質問をしたくらいに。

 まるで双子のきょうだいのような、そんな存在だったんだ……――。

 歩道に敷き詰められた落ち葉が、足の下でかさりと音を立てた。



「ただいま」

「お帰り。明日は母さんとこだからね」

 妹が返事をする。

 明日は墓参りか……。

 僕はどさりと、自分の部屋のベッドに倒れこむ。

 もう、あれから七年になるんだな。

 あの日もこんな風に、色づいた葉っぱが風に散っていた。

「……」

 僕は携帯を取り出した。

 それは、アドレス帳の一番上で、簡単に呼び出すことができる。

 しかし、今までにそのアドレスにメールを入れたり、電話をかけたりしたことは無かった。

 少し迷ってから、通話ボタンを押して電話をかける。

 携帯画面に表示された名前は、『秋庭さん』。

 無機質なコール音が一回、二回と、鳴るたびに緊張を高まらせた。

「もしもし」

「もしもし、秋庭さん」

「上城君?」

 僕はほっと息をつく。

「どうしても訊きたい事があって」

 『幸せになって』、と遙は言った。『それじゃなければ許さない』、とも。

 遙に、勇気をもらった。

 臆病な僕はずっと訊けなかったけれど、秋庭さんに訊かなければならない事がある。

「僕と付き合ったのは『話しやすい』からですか?」

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