第二話:気になるあの人とボケ
次の日、僕は秋庭さんが気になってろくに授業も聞けなかった。
まあ、普段もちゃんと聞いてないけど。気がつくと、目線が彼女を追っている。
逆に気づかれそうになったら、慌てて目を反らしたりして。
「どうしたんだよ、今日はボケっとしやがって」
「その通りだよ、日頃のボケ具合に更に拍車がかかっている。ボケの飽和状態だ」
待て。
そこまでボケ扱いか。
「まさか…恋!?恋なのぉ!?」
坂下が奇妙な裏声で言う。
かなり気持ち悪いぞ。
「それはないだろ」
僕が否定する前に大河内に否定された。
「何故お前が言う」
「まさかホントに恋とか言い出すの?」
「いや違う」
「だろ?君が恋等という物をするなんて天文学的数字だからね円周率を最後まで出すより難しいよ」
「永遠に無いと言いたいのか」
「そんなことは言ってないよ」
言っただろ。今。
「冗談だよ。大河内の言う通りだ。お前に本気で言う訳ないだろ」
坂下、お前はもう少しねばれ。
「だーっもう、お前らのせいで何やってたのかわかんなくなって来たっ」
僕は言う。
「お前が何かをやるような子じゃないって俺は信じてるぞ」
「信じるなそんなこと」
「あっヤベッ次地理じゃん」
ん?地理?
地理の席は縦に出席番号順に並ぶ。
一列は六人で全部で七列の四十人。
ということは。
二番の秋庭と、八番の上城は横に並ぶことになる。
そう。
今まで気にしていなかったが、
僕は秋庭さんと隣の席になるのだ。