表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/38

第二十二話:右ストレートと雨乞い

 え……本当に?

 今起こった出来事を、頭の中で反復してみる。

 えーと、秋庭さんに、答えを言って、告白話にオーケーと言われて……。

 うん、夢だな。間違いなく。

 確認の為に、右手をグーにして、思い切り自分の頬を殴ってみた。

「ぐはっ」

「か、上城君?」

 何故だ。滅茶苦茶痛いんですけど。

「グッドモーニン、皆の衆〜」

 玄関から入ってきたのは、坂下だった。

「坂下、僕を殴ってくれ」

「え、蓮ってMだっけ?」

「違うわ!」

 坂下は、僕の後ろに、秋庭さんがいるのに気づいた。

「そうか……失恋の痛みに、現実を夢と思いたいのだな……わかった、俺が目を覚まさせてやろう!」

 いや、失恋してないし。どっちかっていうと、逆なんですけど。

 そうこうしてる間に、右ストレートが決まった。

 嗚呼、やはり痛い。

 ってことは、夢じゃないのか……。



「ちょっと蓮、その顔どうしたの!?まさか、ケンカとか?」

 あれから、一度保健室に寄って、顔に湿布を貼ってもらったのだ。坂下、ちょっとやりすぎ。

「いや、そんなんじゃない」

「まあ、あんたがケンカするわけないか……坂下とふざけてて殴られた、ってとこでしょ」

 以外に鋭いな、ほぼ当たりだ。

「何年の付き合いだと思ってんのよ。その位お見通しお見通し」

「さすが。……おい、お前ら何やってんだ」

 坂下と大河内が不審な動きをしている。

 机の上に置いた紙に、奇怪な紋様や言葉をびっしりと書き、呪文の様なものを唱えている。

「何って、雨乞い」

 だから、何で雨乞いしてんだよ!

「休み明けたらテストだからさ……」

 僕の背中に寒気が走る。

 そうだった、テストがあることをすっかり忘れていた。

「坂下はわかるけど、何で大河内まで?」

「退屈だったからねーでも、心配ない。僕が割り出した計算では、99.0867%雨だよ」

 かなり微妙な数字だな。

 試しに遙に訊いてみる。

「これは予測できたか?」

 遙は高速、いや音速で首を振った。

「前言撤回。バカトリオの行動は予測不可能」

 ん?トリオ?もしかして、僕も入ってたりする?

 大河内がにやりと笑いながら反論した。

「馬鹿じゃないもんね、学年トップだもん」

「うっわ、何それ!ムカツクー!」

 これは、僕と坂下も遙に賛成である。

「え、ちょっと君達、ここは友好に話し合うべき……ッ」

 ご愁傷様。



 それにしても、これは本当に夢じゃなく、現実なんだな。

 放課後になっても、まだ実感が持てないけれど。

 もしやこれって、世間一般でいう、カで始まって、四文字で、ラ行の三番目で終わるやつか!?

 いや、この言い方はちょっと古いかな。

「あの……」、この言い方はちょっと古いかな。

「あの……」「ハイッ」

 秋庭さんだった。

 思わず、授業中、寝ている時に当てられた生徒の様に返事をしてしまう。

「色々考えましたが、付き合って、何をすればいいんでしょう?」

「……」

 確かに。その辺はまったく考えていなかった。

 何をすればいいのやら……。

「……一緒に帰るとか?」

 秋庭さんは、くすっ、と微笑んだ。

「何時もとあんまり変わりませんね」

「そうだね」

 何だかおかしくて、僕まで笑ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ