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第二十一話:飛び蹴り突っ込みと答えの伝え方・本番編

 朝。小鳥のさえずり、目覚まし時計の音。

 僕は、もぐら叩きと同等の反射神経で目覚ましを止めた。

 もぐら叩きのスピードって、結構速いんだな、これが。

 よし、あと五分……。

「起きろ!六時だぞ!」

「おわ!」

 ノックもなしに、ズカズカと部屋に入ってきた侵入者によって、布団を剥ぎ取られる。

「起きろって言ってんだろ。きこえねーのか」

「ぐはっ」

 そのまま、容赦なく背中に蹴りを入れられ、僕の体はベッドから落ちた。

 フローリングの床は冷たい……。

 信じられないことに。まことに信じがたいことに――僕も信じたくないのだが――この騒がしい侵入者の名は、上城琳かみしろ りん

 僕の妹だ。

 ――遺伝学的には。

「朝ごはんと弁当」

 そうして琳は、僕にふわふわの卵焼きが入った弁当箱……ではなく、空の弁当箱を差し出した。

 ほほう、僕に朝ごはんと弁当を作れと。

「普通こういうのは妹が兄貴に作るもんだろ」

「気持ち悪いこと言ってんじゃねーよ」

「なんだと!?妹としてだな、そもそもお前はホントに女か」

 元祖、とび蹴り突っ込み!

 反抗期の妹を持つ兄は辛い。

 こうして、僕の朝は、凶暴な妹に起こされ、朝ごはんと弁当を作ることから始まる。

「おはよう、母さん」

 テーブルの方に声をかけ、弁当を詰める。

 わざわざ早起きして、人に弁当を作らせるのだから、姑息なやつだ。

 まあ、琳は壊滅的に料理がヘタだからな……。

 心中でぼやきながら「ほら」と、僕は、琳にふわふわの卵焼きが入った弁当箱を渡した。

 その後、ベーコンエッグの皿を二枚、テーブルの上に置く。

 天気予報を見ながら、会話もそこそこに朝ごはんをつまんだ。

「いってきます」

「いってきまーす」

 そうして、僕らは母さんに――玄関横の写真たてに声をかけ、学校へ向かう。



『わたしの何処が好きなんですか?』

 答えは、出た。

 後は、それを秋庭さんに言うだけだ。

「あっ」

 ちょうどその時、玄関で秋庭さんに会った。

「……」

 秋庭さんは話しづらそうにしている。

 昨日の今日さからな。実を言うと僕も少し話しづらい。

 でも、大丈夫だ。

 僕はなるべく、落ち着いて言った。

「おはよう」

「おはようございます……」

 良かった、返事を返してくれた。

「昨日の事だけど」

「!!っ」

 秋庭さんは驚いたが、そのまま言うことにした。

 どこから言ったらいいだろう。

「ちょっと色々あって、僕はもともと誰かを好きになることなんて無いはずだったんです。

 でも、何でか秋庭さんが気になっちゃって。

 ……結局、何処が好きかって言われると、強いて言えば……」

 一度息を吸って、一気に言うことにした。 

 

「人の心を動かす所」

 

 ……なんかくさくないかこれ。

 でも、確かに、昔の僕には心が無かったんだと思う。

 何にも関心を示すことが出来なくて、本当に自分がここに居ていいのかもわからずに。

 そのおかげで、妹にずいぶん苦労をかけてしまった。ひねくれるのも無理ないよな。

 僕が始めて大量の血を見た、あの日から、友人達と出会った日まで。


 秋庭さんは、黙っていた。

 そして、ゆっくり口を開く。

「……ありがとうございます」

 ほっと、僕は心中で胸を撫で下ろした。

「それで……私は上城君、他の人よりすごく話しやすいと思います。だから……この間の話、オーケーです……」

「?……ええ!?」

 一瞬、この間の話というのが、何のことかわからなかったが、直ぐに気づいた。

 これはもしかして、告白話に、オーケーサイン?

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