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間章:小野寺遙と噂委員会

遙視点です。

噂委員会―――

女子の中でも知る人ぞ知る、秘密裏の裏委員会。

そして、あたしはその書記係。

と言っても、元々噂なんてものはほとんど信じちゃいないし、書記をやっているのも、友達に誘われたのと、

「情報が集まりやすい」

から。

でも、その噂委員会からとんでもない情報が舞い込んで来るとはあたしは夢にも思わなかった――…。





「それでは、噂委員会、はーじめー!」

委員長・菜緒の合図で、噂委員会開始。

場所は体育館裏。

カツアゲじゃないけど。

「それでは、隠密情報科より噂の発表!」

隠密情報科?

忍者かっ!

「えーとですねーまず、最新のものから、」



『上城蓮が秋庭紅葉に告白した』



「は?」


おもわず声が出た。

飲み物があったら、ウルトラ水流の如く吹き出していただろう。

「小野寺さん、どうかしましたか?」

「あ…いえ…」


ウソだ。


蓮が秋庭紅葉に告白したなんて。




雪が降ってるせいで空がどんよりと、暗い。

春の北海道は全然綺麗じゃなくて、雪融け水で路面がぐちゃぐちゃになるおかげで、むしろ汚い、という印象を感じさせる。


蓮が、告白、か…


所詮は只の噂、という考えも出来る。

でも、どうしても気になって仕方がない。


そもそも

「あの上城蓮が」

恋なんてする筈がないんだ。


できる筈が、無い。


でも、坂下や大河内のときのようなこともあるのかもしれない。


感情を取り戻す…


二人に会ってから、蓮は前よりもうすっかりいろんな感情を取り戻して、普通となんら変わりなく見える。


でも、やっぱりからっぽなんだ。


あの日、雨と一緒に彼奴の中身は溢れ落ちてしまった。


あたしじゃ、ダメなのかな?


あたしは、誰よりも長く蓮の側に居て。


でも、結局時間なんて関係ないんだよね。


大事なのは、心の側に居るかってこと…。


会ったばかりで、たちまち心の側に寄ってしまった、坂下と大河内。


そして、秋庭紅葉。


あたしは蓮本人の側に居るのに。


心の側には、行けないのかな…?



「それでは特殊広報科から、ばら蒔いた噂の反応をー」

もう、噂委員会の役職名について突っ込む気にもなれない。

「学校中にばら蒔いた噂の反応はですねー…」


特殊広報科は、集めた噂を学校中にばら蒔いて、そこからつく尾ひれのバリエーションを調査する。

蓮の告白の噂にも尾ひれがついたが、

体育・マッチョ教師(♂)に熱烈な愛の告白をしただとか、

飼育小屋の兎との、種族を越えた恋だとか、

くだらないものばかりだった。

やはり、秋庭説が一番強い。

幼馴染みという所から、あたしに告白したという説もあったけれど、只の噂だということは、自分がよく知っている。


もしそうだったら、どんなに――…


思えば、私が持ってるスペックなんてものは、


『幼馴染みである』


という事位しか無い。


彼奴が秋庭紅葉に恋をしたのなら、



あたしにだって出来るはず。



絶対、振り向かせてみせる。


心の側に、寄ってやる。


これでも、片想い歴、七年だよ…?


何時になったら、気付くの、


あの鈍感は。

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