中編
城暮らし…でも、城…見る影無い。
なんか、大半が崩れ落ちてる。
わさわさ木や草花が生えてる。フェンネルの友達わんこが、うぉんうぉん吠えたら、にょっきにょっき生えた。草木があるほうが落ち着くんだって……こんな魔法も使えたんだ……
とりあえず無事な建物に、村の若いわんこ達と越してきた。
フェンネルは俺が城から放り出された後、町の人達に親切にされ食堂で働いてた話を覚えていたらしい。
一般市民が楽しく暮らせる環境を作らなきゃねって……
国運営…俺はさっぱり分からない。わんこ達明らかに、俺より頭よくなってるよ…どこで勉強してきたの?国運営……
食堂の女将さんとおやっさんとの再会。すっごく痩せてた。国の税金が凄かったらしい。
ありがとうって感謝された。新しい国になって助かったって。新しい王様に言っとくねーと返しておいた。
うん。上層部の私腹肥やしてた奴らは、ほとんど惨殺されたからね…それらの蓄えだけで、五年は国家運営出来るってフェンネル達が言ってた。俺に感謝は違うから。国乗っ取りにはノータッチですよっ
フェンネル達は、俺が勇者の力で魔獣を従えて、腐敗した国の上層部を始末したってことにした方が、人間達には安心じゃないか?って言われたけど、そーゆーのが勇者を頼ってもおかしくないと思わせる思考を作るのは嫌だ。他力本願よくない。実際俺、なんにもしてないし。
俺の仕事は村でやってたことと一緒、子犬達の子守りです。後、食事の支度?
最初はわんこ達にびひってた人達も、慣れたみたい。人間って慣れるの早い。
村で育ってた口減らしに捨てられた子供達や老人も、フェンネルの手伝いしだした。人型わんこと、子供達と老人で国家運営……老人の中に賢者がいたらしい。彼を中心に青空学校…子犬達も彼のお話は大人しく聞いています。このこらも、すんごく賢くなりそう…でも賢者様いわく、フェンネルは桁違いの知能だって。
何か畜生に従えるかっ!って、団体が攻めて来た。
元の王族を討とうと地下活動してた奴ららしい……うん、見たことある顔があったんだ…
そしてつい、「あ、俺を食堂から浚って崖から突き落とした奴ら」って、言っちゃったんだ……
フェンネル怒髪天
あえて何があったかは書かない。
慣れてきてた人達も真っ青。
真っ青でびくびくしてた人達が、慣れてた頃にあっという間に戻った。
首を傾げてたら、昔王様の伴侶を殺そうとした奴らだったと広まっていた。なんかラブストーリーがねつ造されてた。出会った時、子犬だったからね?俺、怪我は確かにしてたけど、空腹で行き倒れてただけだからね?そして一番の問題は、俺男だからっ!フェンネル雄だからっ!
ホモのラブストーリーに憧れてどうするっ
と、いうか、普通に伴侶扱いになってたことに今更気付いた。
つーか、フェンネル王様になったんだから、後継ぎが必要なんじゃないか?
………えっと、落ちた。
魔獣は長を決めるのに、世襲制なんて考えもしないんだって。能力の高いのが王様。
大体強いのに従うのが獣の本能だから、後継ぎの心配はないってさ。何かちょっと考え込んで、うだうだしてた。何か嫉妬してたらしい…いまいちまだ認めたくないが…
フェンネルが俺以外と番いになるなんて嫌だと、思ってしまった……うがーっ、あいつが俺のこと好き好き懐くからっ、変な風に洗脳されちまったんだっ!ぜったいそうっ!
勇者が来た。
なんかきーきー煩い女が一緒。
魔獣に支配された民を救うために来たんだって(笑)でも勇者、やる気ゼロっぽいけど?
だって皆、のほほんとしてるしな。見るからに国は豊かで平和だしな。
でも煩い女が皆人に化けた魔獣なんだとか喚いて、大規模な魔法で雷を落とした。
フェンネルがしっぽ一振りで払ったけどな。そしたら勇者が変身したフェンネルの大きさにびっくりしたのか、拳銃を抜いた。拳銃に驚いて叫んだら、勇者が俺を見て驚いた。
「拳銃って知ってるのか?」って、「知ってるよ、この世界じゃ初めて見たけど」と、答えたら言葉が通じるって感動された。カルロさん、アメリカ人の刑事さん。
やっぱり召喚されて来た人だって。
何か一部の人とだけ話せる翻訳魔術をかけてもらってたらしい。一緒に来た女の人に。
うん、魔獣の王を倒して、その心臓を持ちかえれば帰せるって騙されてたらしい。
日本語上手だなーと思ったら、彼自身は英語を話してるんだって……うん、俺の勇者としての特殊能力の一つ、言語翻訳(会話のみ)だったみたい。
女の人は簀巻にして国に送り返した。
俺の通訳?で…って言っても同じこと二回しゃべるだけなんだけど、それでカルロさんもこの国に所属すること決定。拳銃は本物の拳銃じゃなくて、幻みたいなものらしい。そこから魔法を撃ち出すんだって見せてくれた。
夜空に花火が上がったよ。
そしたら宴会になった。町の人達は最初は驚いたみたいだったけど、フェンネルがこの国に来てくれた魔術師の贈り物で害は無いと発表したらお祭りになった。
日に日に人々も肝が太くなっていってるような気がする…
宴会は三日続いた。お祭りも。
新しい国になってから、お祭りとかやってなかったから、ある意味丁度よかったのかも。
そして新事実発覚。
カルロさん……ホンモノだった。
本場のゲイって、そんなこと知りたくなかったよっ、俺を口説くなよっ
つーかホモ率高っ
言葉通じてないはずなのに、フェンネルが怒ってカルロさんと戦った。
フェンネル人型でカルロさんの攻撃非殺傷設定だったけど。宴会の見世物になってたけど。
勝敗は…俺が勝者だって。
酒の勢いで、俺にはフェンネルだけだからとか叫んで止めた…らしい。記憶にございません。そんなの覚えてないっ!覚えてないんだからなぁっ!
カルロさんにフェンネルの友人が言葉を教えることになった。人型だと綺麗系の美形な雄…つーか、ほとんど皆、人型だと美形…なんか慣れたけど。
カルロさんは尻尾振ってついてった……あの人は獣人じゃないはずなんだけどな………
マジで俺にアプローチしてくるよりはいいけど…彼は平気なのか?フェンネル…友人を売るなよ……
カルロさんに久しぶりに会った。何か疲れてたけど、言葉はだいぶ話せるようになってるみたいだと、周りは言う。俺には分からない。だって俺の翻訳、無意識だし。
えっと、カルロさんくわれてた。
昨日は何か英語で愚痴を聞かされてたらしいけど、何が言いたいのかよく分かんなくて…やっと聞き出したら、フェンネルの友人にくわれたんだって。?と首を傾げてたら、元々カルロさんはくう方専門で、これまでくわれたことはなかったらしい。カルロさんマジ泣き。でも惚れてるらしい。テクが凄いとか優しくておかしくなるとか最後の方はノロケになってた。同意出来た自分がなんか嫌だ……
魔獣、ぱねぇ……
でも仲間が出来てちょっと嬉しい。




