6/24
第6話 穂乃花、わたし、勇気、出してみる
「ねえ穂乃花。何かお菓子持ってない?」
休み時間に、わたしは穂乃花に聞いてみた。
「お菓子……?持ってるけど?」
穂乃花は不思議そうな顔をする。
わたしは穂乃花がくれた、キャンディチョコをパクッと口に入れた。
「ち、ちょっとまだお昼休みじゃないよ、なにやってんの。先生怒られるって」
穂乃花の冷静なツッコミは無視して、チョコレートの甘さに集中する。
うん。普通に美味しい。
美味しいぞ、これは。
幸せいっぱいだぞ、わたし。
ニコニコするんだ。わたし。ニコニコだ。ニコニコ。
「な、なんなのひさめ、気持ち悪いんだけど……」
「っだーーーーー!ダメだーーーー」
笑顔、出てこない。ぜんっぜん出てこない。
何でなんだろう。
このお菓子だって普通に美味しいのに。
いや、もしかしたらあれか。
あの強面の橘くんが作ってるっていう、ギャップ萌えみたいな、何とも言えない生暖かい感情が、わたしに自然な笑みを与えてくれるのだろうか。
「何、なんなのいったい」
穂乃花は完全に気味の悪いものを見るような顔で見てくるけど、この際気にしない。
「穂乃花、わたし、勇気、出してみる」




