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第4話 味見とか、するのかな。そもそもあの仏頂面で、甘いもの、好きなのかな。
その夜、わたしは自分の部屋の鏡の前で、橘くんのクッキーを食べてみた。
可愛い十字の形のお花。
たしかに、あの強面の橘くんがクッキー生地を可愛いお花の形に抜いて、ジャムを詰めているところを想像したらなんだか笑えてくるかも。
味見とか、するのかな。
そもそもあの仏頂面で、甘いもの、好きなのかな。
くす……似合わなーい。
ラッピングだって、もっと男子っぽいシンプルなラッピングでもいいのに、ファンシーなパステルカラーだった。
橘くんが選んだのだろうか。
誰に配るのかな、これ。
そんなことを思いながら食べていたら、やっぱり口許がほころんで、鏡の中の西嶋陽雨は、自然な笑顔を浮かべていた。
嘘みたい。
わたし、別人みたいだ。
練習、練習。
明日から、教室でも、この顔でニコニコ、おはようって、言うんだ。
「お、おはよう……!」
わたしは、鏡の前でひたすら練習を重ねた。
話し掛けられたらすぐ笑顔。
話し掛けられたらすぐ笑顔。
できるかな。
話し掛けられたらすぐこの笑顔。
うん、いけるかも。
頑張るぞ、西嶋陽雨!




