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第18話 初デートじゃん……!

 そんなわけで、わたしは晴れて(?)家庭科研究部に入部することになりました。


 そして本日は、入部一日目にして、なぜか橘くんと電車に揺られています。


 放課後、橘くんは、何も言わずにさっさと教室を出ていっちゃうし、

 外見になんありのわたしは、たいていの場合、初対面で感じ悪い人、と取られてしまうから、

 正直めちゃくちゃ緊張しながら家庭科室に足を踏み入れたのだけど……


 入室するなり、

「ウワサの西嶋陽雨にしじまひさめさんですねー!お待ちしてましたー!」

 と、人懐ひとなつこそうな女子部員に大歓迎されたのだった。


 ウワサって、いったいどんなウワサだろう。

 わたしは冷や汗をかいた。

 そう言えば、数日前まで橘くんは、この場所で、毎日毎日わたしのためにお菓子を作ってくれてたんだ……と赤面してしまう。


「ほらねー私の言ったとおりだったでしょ!今日は西嶋さん来るって。私のアツい勧誘のおかげだよ、感謝してよね!」


 アヤノさんはドヤ顔だった。


「まあ、なんにせよ、部員少ないから、嬉しいよ。カンジがこわすぎて今年は一年生ぜんぜん入んなかったからね……」

 

 桜田くんの説明によると、

 男子部員は二年生の橘くんと桜田くん。

 女子部員は三年生のアヤノさんと二年生含めて六人。

 

 みんなに自己紹介してもらって、入部届を書いたところで、


 桜田くんに、なぜかニヤニヤしながら、取りあえず二人で買い出しに行ってきて……!と頼まれたのだった。


 なんでいきなり二人で買い出しなのだろう……と疑問に思いながらも、わたしは橘くんと初デートじゃん……!と浮かれまくっていた。


 行き先は学校の最寄り駅から電車で30分ほどの大きな駅にある製菓・製パン用品専門のお店とのこと。


 電車の中で橘くんと並ぶと、その大きさが際立きわだつ。


 吊革つりかわが子ども用みたいだ。


 そして……やっぱり、人相にんそう悪いな……。

 普通にしてたら、絶対話し掛けようと思わないもん。


 気のせいか、橘くんの周りだけ人が少ないような気さえしてしまう。


 橘くんと二人きりって、緊張するな。

 電車で30分、何話したらいいんだろう。


 なんだか今日のお昼の出来事が、嘘みたい。


 俺の片想いだから――って、言われたのに、橘くんは、何事もなかったかのように、普通の顔をしてわたしの横に立っている。


 授業終わったら、何も言わずにさっさと部室に行っちゃうし。


 やっぱり、『片想い』って言葉は、とっさに出てきた、口先だけのことだったのかな。


「あのさ……」「橘くん」


 二人の言葉が重なった。


「な、なに……?」


 思わず橘くんの顔を見ると、慌てたように目をそらされた。

 え……橘くん、なんか、顔赤い?

 なんか照れてる……?


 こんな橘くんははじめて見た。

 お昼にクラスのみんなの前で、付き合ってるの?っていじられてた時も安定の強面こわもてで、堂々と対応してたのに。


「LIME……交換しない……?」


「え……?」


 わたしの心は一気に40℃ぐらい温度が上がった。


「……するする!するするする!」


 その顔面でもじもじしないでよ……!


 わたしとLIME交換したくて、もじもじしてたんですか、あなた……!


 萌えだ……萌え……抱き締めたい、ぎゅっとしたい……。


「西嶋さんに俺の作ったもの食べてほしいとは言ったけどさ、まさか、部活入ってくれるとまでは思わなかったから、すげー嬉しい」


 な、なにそれ……!

 なら早く言ってよ……!

 さっきまで全くそんな素振そぶり見せてなかったじゃん……!


 みんなの前だと、恥ずかしかったのかな。


 車窓に映る橘くん、耳まで赤かった。

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