表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界で最強スライムになった俺、勇者パーティーに追放されたら神にスカウトされた件。

作者:

目を覚ますと、俺は死んでいた。

 いや、正確にはトラックに跳ね飛ばされ、スマホを握りしめたまま宙を舞っていたのを、今でもスローモーションで覚えている……。

 あの時、俺の脳裏に浮かんだのは「積みゲーがまだ二十本残ってるんだが!?」というどうでもいい未練だけだった。

 そして気がついたら――真っ白な空間の中に立っていた。

「ようこそ、転生希望者ナンバー五億三千二百七十二番」

 声の主は、どこか疲れ切った顔をした女神だった。

 金の髪を無造作にまとめ、書類の山を抱えている。明らかにブラック職場の顔だ。

「……お疲れ様です」

「わかる? 今期、異世界転生の申請多すぎてね……。もう人手が足りないの」

 女神はため息をつき、机の上の書類をパラパラとめくった。

「えっと、あなた……“平凡な人生をやり直したい”って書いてあるけど、テンプレ的にチートつけていい?」

「そりゃもちろん!」

「よし、じゃあスライムで」

「は?」

 次の瞬間、俺の視界がぐにゃりと歪んだ。

 目を開けると、そこは森の中。

 体が……ぷるぷるしている!?

「おいおい、マジでスライムかよ!」

 だが俺のステータスを確認してみると、ありえない数字が並んでいた。

 ――【種族:スライム・神格個体】

 ――【スキル:全ての存在を喰らう(∞)】

 ――【レベル上限:なし】

「お、おお……これ、バグってない?」

 試しに近くのゴブリンを飲み込んでみた。

 次の瞬間、ゴブリンが消え、俺の体に流れ込む感覚が――。

『ゴブリンのスキル《再生力強化》を取得しました』

 ……ヤバい。これはマジで無敵だ。

 一年後、俺は“神域級魔物”として名を馳せ、勇者パーティーに討伐された。

 いや、正確には討伐されるフリをした。

 なぜなら、勇者たちは俺の魔力の一%も削れなかったからだ。

「お前みたいな化け物、仲間にできるか!」

「勇者よ、君の剣、逆に危ないよ?」

 結局、俺は“追放”という名目で森に戻された。

 その夜――天から声が降ってきた。

『――よくやった、我が後継者よ』

 空が裂け、あの女神が降臨した。

「え、なんで!?」

「だって、あなた強すぎるんだもん。人間界に置いておけない。神界で働いてくれない?」

「え、それ転職エンド!?」

 女神は微笑むと、俺の体に金色の光を注いだ。

『あなたを新たな“創造神スライム”として任命します』

「まって、それ職種スライムじゃなくて神様じゃん!」

 ――こうして、俺は神になった。

 異世界最強スライムから神格スライムへ。

 今では、俺の作る世界に“新たな勇者”たちが転生してくる。

 彼らが祈るたび、俺は笑う。

「いいぞ、人間。俺を倒したければ――もっと強くなれ!」

 空に響く、神の笑い声。

 その声を聞いた者は皆、こう呼ぶのだ。

 ――“スライムの神”と。

                  【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ