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きらめきの乙女は闇に抱かれる  作者: ももんが☆


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14/23

14.失敗というか、もう無理。


今日の主役しか身に着けることのできない、白が視界にはいる。輝くばかりの笑顔でこちらに手を差し伸べているのは、キンドリー王太子、その人だった。



◇◇◇



王族から誘われて断れる者などいないに違いない、その自信みなぎる声にもそれがあらわれていて、ジョシュア様に助けをもとめるようにちらりと目をやるも、彼はそつない笑顔で、わたしをがっちりホールドしていた手を放し、王太子にむかって、流れるようなお辞儀をした。それにつられて、わたしも深くお辞儀をする。


「―――妖精のようなお嬢さんだね。さぁ、ぜび、一緒におどろう」

きらりと王太子スマイルで、迫られれば、もう、無理だ。


わたしはジョシュア様に名残惜しそうな流し目をおくって、視線を断ち切ると、すべるように、王太子の手に自分の手を乗せた。


「さっきから仲良くしていた人は誰?―――あなたは、候補のリストにはなかったけれど、とても目を惹いたよ。素敵なドレスだね」

ワルツのために、足を踏み出しながら、問いかけてくる目は無邪気で、年相応のものだ。好奇心がのぞいている。


「ええ、わたくし、王太子さまのお選びになる、どなかたのお付きになりたくて・・・、それで、ここへまいりましたの」

はにかみながら、応える。


「ああ、そういこと、でも、妬けてしまうな・・・、彼ほどの美丈夫と私の目の前で踊るなんて、あなたはひどい人だ」

「そのようなおそれおおいこと・・・、わたくし、つい、ダンスに夢中になってしまって」それは、本当だった。そうでなかったら、こんな失態は犯していないはずだ。


「王太子さまはどなたがお好みですの?わたくしのような娘では―――だめでしょう?」

本来ならこんな不躾な質問するなんてタブーだが、あえて、下層階級の者だと思われるように、あけすけない言葉を選ぶ。


「まぁね、私はもっと大人の色気があるほう女性が好きかな?」視線を外して、まわりで、悔しそうにハンカチをかんでいるご令嬢をみまわす。


「うふふ。そうでしょう。わたくしなんて、目にもはいらない添え物ですわよね。では、他のみなさまがおまちですもの、わたくしは壁の花にもどりますわ」


「そうだね・・・、でも、君を手元において、育ててみるもの一興だね。君は育てがいがありそうだ」


王太子は、ダンスをとめると、わたしの手をとって、バルコニーの方へいざなっていく。あたりは騒然としている。だって、貧相な体つきの娘が王太子の気を引いて、ダンスは中断されたのだ。


この日のために、集まったご令嬢や付き添いの当主などは、わたしを射殺さんばかりの目でみている。背中のレースごしに、敵意がひしひしと伝わってきて、冷汗がつたう。


 

「寒くはない?ほら、こちらにもっとおいで」


私の肩を抱いて、マントのなかに、王太子はわたしをくるむ。

そして、キンドリー様は人払いをした・・・。

 

わたしは内心、びくびくしていた。もうだめかもしれない。ミシィとジョシュア様の顔が浮かぶ。


(いえ、だめよ、ここで、負けたら、わたしのおいしいスイーツ店巡り計画はおじゃんではないの。がんばるのよ、リリア!)


「どうもありがごとうございます。こちらは崖の上にあるお城ですもの、冷えて当然ですわ。それよりも、王太子妃さまがお待ちですわ」


わたしは、軽く、皇太子とくっつすぎの体を押し出そうとするが、より、ぎゅっと密着されてしまい、目を泳がせた。


(ま、まずいわ。非常に、な、なぜこのぺったんこなわたしに異常に執着しているのかしら・・・!)


「あなたはわたしが恐くないのかな?今日踊ったご令嬢方は、・・・震えていたよ」


「え、そうなのですか?わたくしには、そんな、こわいだなんて・・・、きっとみなさま緊張されていたのですわ」

にっこり笑って、ごまかそうとするも、さらに、手をつかまれてしまって、鼻とおでこがくっつきそうなくらい近くになっている。


(ど、どうして、こうなるの・・・、そうよ、そりゃあ妾妃候補のお嬢様方は震えるわよ!)

キンドリー様と以前お付き合いしていたお嬢様方はすべて「心が壊れてしまう」というおそろしい噂があった。まぁ、これは公然の秘密ですけれど・・・。ジョシュア様から聞いたのだが、緘口令がひかれているそうだ。


「あなたは、珍しい瞳の色をしているよね。うす紫だ・・・、しかも、両目ともに、濃さが違う」

わたしの瞳をのぞき込むように見るキンドリー様の目は真剣で、身をよじって逃げようとする。


「そ、そのようにお近づきないならないで・・・、恥ずかしいですわ」わたしは、まつげを伏せて、頬をそめてうつむく。


しかし、王太子はうっとりとした声音で、ねっとりとわたしの顔をなめまわす。

「――――この特徴をもっていたのは、今は亡き、前王妃だけだ・・・。あなたは一体何者だ」


わたしは、身を固くする。


(どういうこと?―――彼は何を言っているというの・・・)


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