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第9話 ファイアドラゴン

 それからさらに私たちは、何十体、いや、百数十体もの魔物たちを倒していく。

 そして、手に入れた魔法具もすでに20個を超えていた。

 魔法具の種類と組み合わせによって、使える個数は違う。 

 だが、初心者の私には慣れてないせいもあり1個使うのが限界だった。

 魔法具を使いこなすのも自動車の運転やパソコンの操作と同じである。

 そして、使える魔法はだいたい1個の魔法具につき1つだけ。


 なら、そのうちの1つはどれにするか?

 炎か? 氷か? 雷か? 

 それとも回復治癒か? 

 私の答えは、すでに決まっていた。


「何か、様子がおかしい。」

「えっ?」

 岩山と草原の続く地形を歩きながら、

 不意にエレスがポツリと呟いた。

「出てくる魔物の数が多い、そして、レベルが高すぎる。」

「そうなの?」

「ええ、そもそも、こんな浅い階層でレッドドラゴンが出没すること自体おかしいのよ。

 ダンジョンの内部の景色も今までとは全然違う。

 変化の速度が速すぎる。

 どういう事?」

 エレスが困惑している。

 私はダンジョンに来るのは始めてだが、

 本から得た知識で知っている。

 ダンジョンは自動生成されて刻一刻と変化して行く。

 正確にはダンジョンから次元転位した先の魔界の構造に変化があるのだが。

 基本的にはそれ程大きく変化する事なく、微妙に山や森などの地理が少しずつ変化して行く程度なのらしい。

 出没する魔物の種類もそれほど急激に増えたり強くなったりしないはずである。

 これが、転生前に女神に教えてもらったこの世界の真実。

 魔王復活による世界滅亡の兆しなのかもしれない。

 だとするのなら、もしかしたら、この辺で引き返してもいいかもしれない。

「エレスちゃん、あの?」

 この事を彼女に伝えようかと思った瞬間。

「しぃーっ、黙って、マリー」

 エレスがいつになく真剣な表情で、凛とした視線を前方に向けて言った。

 そんなに「ちゃん」付けを嫌がらなくても?

 だが、エレスはその言葉に対して微動だにせず、沈黙し続けた。

 キシャアアー

 魔物の咆哮が聞こえる。

 はっ?!

 どうやら、エレスが私に黙れと言ったのは、馴れ馴れしくしたのが原因じゃないらしい。

 岩山が崩れ落ち、地割れがした。

 そして、前方の地割れの中から、赤い古竜、レッドドラゴンが飛び出してきた。

 レッドドラゴンが口から3発ファイアーボールを発射する。

「逃げなさい、マリー」

 そう言ってエレスは前へと踏み出すと、

 アイスリンクソード、氷冷の魔法剣のレイピアによる剣撃でファイアーボールを斬りつける。

 ファイアーボールはそれぞれ冷気の剣で蒸発する。

「逃げるですって、冗談。」


 左手に装着した腕輪が魔法の輝きで虹色に輝く。

「スピリトゥス 」

 私はそう魔法詠唱すると、ドラゴンに向かって駆け出していく。

「マリー!!」

 エレスが私を制止するが、私は止まらない。

 スピリトゥスは、肉体強化と身体能力強化の魔法である。 

 パワーとスピード、それに防御力をバランスよく高める事ができる。  


 ドラゴンが前足の爪を振り下ろして来た。

 私はボックスから剣を取り出すと、ドラゴンの爪を弾き飛ばす。

 身体能力強化の魔法でパワーアップした私は、巨体を持つドラゴンの攻撃にも対応できる。

 2回目のドラゴンの長爪の攻撃を剣で弾いて払いのけると、私はドラゴンの胸を鱗の上から切り裂く。

 さらに2発、3発と斬りつけるとー

 キィィイイーン

 火花が散り、剣が折れてしまった。

 武器を失った無防備の私にドラゴンが再び爪を振り下ろして来る。

「 危ない!!マリー!!」


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