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第5話 先陣

第41話 先陣

「マリー!!マリー!!どこなのマリー!! 」

どこからかエレスの声が聞こえる。

私は敵兵を得意の格闘術で4人倒したあと、その声のする方へ向った。

通路の先の王座のある大広間に、エレスはいた。

 「エレス」

「 マリー 」

「 助かったわ、城の構造を忘れてしまったので、少し迷っていたの 」

 「!!相変わらず、詰めが甘いのね。あなたわ。」

 「 でも、暗黒魔導士は倒したわ。 」

「ええ、リバンドンの兵士たちは、全員洗脳が解けたわ。残りの帝国軍も、全員逃げるか降伏した」

「 それは良かったわ」

 「 あなたこそ、魔導士と戦って、ダメージはない?国を征服した帝国軍から、城をこんなにも簡単に奪還するなんて、本当、あなたって人は 」

エレスが私を褒めている。

 もと天才美少女将棋指しだった私にとって、乗っ取られた城を奪還することなど容易いことだ。

 「 マリーさん。ここにいたのですね。 探しましたよ」

「マリー」

向こうから、メノウとフィルの2人が歩いて来た。

 「最初はたったの4人しかいなかったのに、まさか一瞬で城を取り返すとは、やっぱりマリーさんは凄いです」

「 ありがとう。」

「みんな、もう疲れたでしょう。今日はゆっくり休んでー」

「 駄目よ!!エレス 」

「 えっ?!」

エレスが少し戸惑う。

 「 リバンドンを奪還して、みんな疲れてるのはわかるけど、休んでいる時間はないわ。

王国軍と、帝国軍の戦いは今も続ているわ。

帝国を撤退させない限り、リバンドンに平和は来ない。

一刻もはやく、チェンバレンや私たちの同盟国の救援に向かわなければ」

「 そ、そうね 」


☆☆☆☆☆☆☆ 


エレスは、この国の王姫として、いや、リバンドンの指揮官として、号令をかけ、兵士たちを集めた。

 まず、リザード部隊と呼ばれる巨大トカゲに乗って移動し、戦う部隊を編成した。

 リザード部隊は、リバンドンの精鋭を集めて作られる部隊で、足の速いリザードに乗って高速で移動する事ができる。

 そのリザード部隊が、まず先発で出発し、残りの兵士たちが後から追いかけてくる。

 エレスや私たちも、リザード部隊として先陣をきり戦場に向う。

 エレスがリザードの背中に乗り、残りの兵士を鼓舞した。

 美しい。

 まるで戦乙女バルキリーのようである。

 ただ乗ってる生物は白馬ではなくトカゲだが。

 私もリザードの背中に乗る。

 もと天才美少女乗馬師だった私には、暴れリザードを乗りこなすことなど容易なことだ。

 メノウは魔法でリザードを洗脳して操る。

 フィルはどこかの兵士に乗せてもらっていた。

 鈍臭いやつめ。

 私たちは草原や砂漠を超えて、一昼夜を問わず走り続けた。

 途中で、少し険しい山に遮られた。

 モンスターも多く出現する危険な山だ。

 参謀からは回り道をしようという意見もあった。

 この国の希望の星、エレナ姫に何かあってはならないからだ。

 だが、私は回り道には反対した。

 最短距離を行くべきだと断固主張した。

 エレスなら大丈夫だ。

 彼らと違い、私とエレスにはともに戦ったこの数ヶ月という時間がある。

 エレスの事は、彼らよりもよく知っているのだ。

 結局私たちは、リザードを降りて、その山を乗り越える事にした。

 私はアイテムボックスから山登り用のロープや先端についてる金具などを取り出し、みんなに配った。

 険しい山々だったが、天才美少女登山家だった私の丁寧な指導で何とか乗り越えた。

 そして、戦場に到達した。


☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 チェンバレン王国軍と帝国軍は、熾烈な戦いを続けていた。

 兵力では、王国軍が3倍以上の圧倒的な数がある。

 だが、帝国軍はモンスター使って攻撃する事ができる。

 暗黒魔法やそれによって生み出された暗黒魔法具によって、帝国軍は魔物を操る事ができるのだ。

 その魔物たちによって、王国軍は苦戦を強いられていた。

 「全軍、すすめ!! 」

エレスが号令をかけ、隊列を組んだ兵士たちが突き進んでいく。 

 「 ぐぬぬぅぅうううー、リバンドン帝国領が陥落してからまだ3日しか立っておらぬ。こんなにも速く到着するとは!! 」

 敵の上級士官らしきヤツが、うめいた。

 「エアロソード!!」

 エレスが風の魔法剣を唱える。

 そして、リバンドンの希望の星は、勇敢にも先陣をきって敵モンスターをレイピアで次々と切り倒していった。

 私もエレスに続いて、炎の魔法剣フレイムソードで数十匹もの3色巨大イモムシのブラックウォームたちを薙ぎ倒す。

 奇襲攻撃を喰らった、帝国軍の陣形は、みるみるうちに崩れていく。

しかしー

「 おい!!あそこにいるのはリバンドンの王姫、エレナだぞ!!あの女を殺せば、リバンドン軍は崩壊する!! 」

 帝国軍の兵士の誰かがエレスの事に気がついた。

 その声とともに、左側面の数十メートル先から剣や槍を持った30人近くの帝国兵がエレスを狙って襲いかかって来た。

 私は炎の魔法剣をアイテムボックスに戻す。

 そして、左手を伸ばし水魔法ウォーターボールを連射して次々と敵兵を弾き飛ばしていく。

 5人、10人ー

 その中で、魔鉱石の鎧を着た強力な魔力の輝きを持つ騎士が走り込んで来た。

 その騎士が、私のウォーターボールを真横に真っ二つに切り飛ばす。

 ウォーターボールの水球が弾け周囲に飛び散る。

 「フハハハハ!!エレナ姫のお命もらい受ける!! 」

 まずい!!仕留めそこなったために帝国騎士が接近してきた。

 かなり強力な剣技と能力を持つ騎士とみた。

 しかも、その騎士だけでなく後続からさらに次々と兵士が襲いかかって来る。

 剣を出して接近戦で撃ち合うか?

 駄目だ!!かりにあの騎士と数秒撃ち合う事ができても、残りの敵兵たちに防御ラインを突破され、エレスが討たれてしまう。

 

数ある作品の中から、この作品を選んで頂いてありがとうございます。

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