第10話 操り人形の糸2
第34話 操り人形の糸2
「 メノウ!!離れなさい!!」
メノウにつけてもらった魔法紋が発動し、私の身体能力が強化される。
以前つけていた魔法具のスピリトゥスよりも格段強い。
私はメノウを突き飛ばすと、デュラハンの剣を剣で受け止める。
キィィーン
手が痺れる。
スピリトゥスの魔法紋がなければ、魔法具のスピリトゥスの魔法効果では耐えきれずに吹き飛ばされていたかもしれない。
デュラハンの2撃目を私は払い除けると、あえて剣を捨てて蹴りを放つ。
剣を捨てたのはより早く動くためである。
だがその蹴りは、左手の鋼鉄の盾で防がれてしまう。
武器を持たない無防備な私に右手の暗黒剣が振り下ろさせる瞬間、私は蹴りの反動を使って後方上空へ跳躍する。
私は空中を飛びながら、アイテムボックスから3種類のスライムを8匹取り出す。
そして、操り人形の魔法具で意識に接続しスライムを操る。
レッド、ブルー、イエローのスライムが空中に跳ね上がり、デュラハンに飛びかかる。
私が反回転して地上に着地すると同時に、4匹のスライムが盾で弾かれ、4匹のスライムが剣で真っ二つにされる。
さらに私は10匹のサラマンダーと、10匹の3色巨大ウサギ、さらに10匹の3色巨大ガエルをボックスから取り出した。
30匹の魔物が同時にデュラハンに襲いかかる。だが、ほぼ数秒のうちに蹴散らされ、絶滅させられた。
「ヤツの動きが速い!!それなら!!」
私はスライムを40匹取り出した。
空中に跳ね上がるスライムでデュラハンの周囲を取り囲む。
そして、全員のスライムの口から粘液を吐き出させた。
大量の粘液がデュラハンの巨体にまとわりつく。
粘液のネバネバでデュラハンは動きが取れなくなる。
チャンスだ!!
しかし、100匹近い魔物たちの意識を乗っ取り連続して操つった私の精神力と体力は、限界に来ていた。
スライムなどの魔物たちは、操り人形の魔法マニピュレイトに魔法耐性などで抵抗してくる。
それに打ち勝つためこの魔法は非常に大きな精神力を消耗するのだ。
トドメをさそうとボックスから剣を取り出した私の膝が疲労で地面につく。
「マリー、トドメは私が刺すわ!! 」
そう言って、私の後ろからメノウがデュラハンに向かって走り出した。
手にはウィザードソードを持っている。
デュラハンが暗黒剣を掲げる。
そして、剣からは漆黒の炎が燃え盛る。
!!まずい!!
「駄目よ!!メノウ!! 」
漆黒の炎はスライムの粘液に燃え移り、粘液を燃やしてしまう。
デュラハンが剣を振り下ろす。
私はメノウに飛びつく。
ダークフレイムソード
デュラハンの魔法剣が岩に命中し、大爆発を起こす。
「 きゃあぁぁぁああ」
暗黒の炎は岩を砕き、爆発させ、その破片がメノウをかばう私の身体に幾つも突き刺さる。
骨を砕く。
私はメノウを抱きしめたまま吹き飛ばされ、2人で地面を転がる。
私はすぐさま立ち上がろうとするが、足の骨がひび割れてる。右腕の骨も、あと、岩の破片が幾つも内臓に食い込んでいる。
私はスライムを操り、デュラハンを攻撃させる。
40匹のスライムたちが次々とデュラハンに飛びかかるが、返り討ちにあっていく。
全滅するのは時間の問題だ。
「 マリー!!」
メノウはどうやら無事だったらしい。
私が剣を振れるのは2、3回が限度だ。
良くて相打ち、最悪死ぬかもしれない。
だが、メノウを逃がすにはそれで充分だ。
死ぬとしたらたぶんそれは、メノウだと思っていたが、どうやらそれは私の事だったかもしれない。
メノウが私に回復治癒魔法をかけるが、この深い傷ではすぐには治らない。
「 マリー、私のせいで」
メノウが自責の念にかられている。
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