第9話 操り人形の糸
第33話 操り人形の糸
私たちは、エレスたちと合流するため上階と下界をつなぐ巨大な通路の中へと入っていった。
巨大な通路は硬い鉱石によって覆われた巨大な洞窟だった。
スピリトゥスを使う事ができる、身体能力強化の魔法具を装備しなくてもすんだ私は、変わりに魔導力探知の魔法具、マジックレイダーを装備した。
エレスたちを見つけるためである。
「 おかしいわ、魔物の数が少ない 」
洞窟の中に入って数十分後、メノウが呟いた。
ピピィィイイイイ
魔導力探知の魔法具、マジックレイダーーが反応した。
「レイダーが反応した 」
「 遊撃隊? 」
「 違う、エレスたちじゃない。これは 」
そう言って私は戦慄した。
魔導力が圧倒的に強い。ということはー
「 暗黒魔導士 !!」
そう言って、メノウがレイダーの反応した方向に駆け出した。
「 駄目!!メノウ!!遊撃部隊と合流するのよ!! 」
この魔導力、私たち2人だけではかなり不利だ。
勝てたとしてもメノウが死ぬ。
駆け出したメノウは、巨大な岩陰に隠れた。
私もその隣に隠れる。
前方に、黒いローブを着た祭司、暗黒魔導士がいた。
その周囲に、5人の帝国騎士たちがいる。
「撤退する? 」
帝国騎士の1人が言った。
「そうだ。そろそろ、王国の送り込んだ遊撃部隊がここに到着する頃だろう。今のうちにここを離れる。 」
暗黒魔導士が答える。
「 しかし、それでは計画が? 」
「何、心配するな。隠し通路を使って地上に戻った後には、またほかのダンジョンから魔物を送り込めばいいだけの事。ダンジョンは、幾らでもあるのだから 」
ちっ、連中め、散々魔物を送り込んだあげく
逃げる気だ。
しかし、私たち2人では不利だ。
メノウ、ここは引くわよ、そう言おうとした瞬間ー
「 いいえ!!逃さないわ!!連中はここで私が倒す!! 」
そう言うと、メノウは魔法の杖をかかげて上級炎魔法メガフレイムを発射した。
「魔法の杖!?いつのまに!? 」
メノウはいつのまにか自分のアイテムボックスにウィザードソードをしまい、変わりに魔法の杖を取り出していた。
魔法の杖のほうが魔法力が強い。
メノウの魔法の杖から、巨大な炎と光の塊、メガフレイムが発射され、大爆発が起きる。
「うわぁぉぁああああ 」
爆炎が敵を包み込む。
帝国騎士たちが悲鳴をあげて消滅する。
爆炎が消える。
しかし、そこには鎧を身にまとった巨体の騎士が立っていた。
暗黒の剣を持ち、首から上がない。
デュラハンだ。
そして、前方には巨大な魔法の障壁が出現している。
「そ、そんな、アンチマジック・シールド。遠隔魔法効果無効の鎧を着ている 」
メノウが声を震わせながら言った。
遠隔魔法効果無効の鎧は、魔法攻撃を喰らう瞬間魔法の障壁を生み出す事ができる。
そして、すべての遠隔魔法を遮断する防御壁となる。
つまり、魔法の杖を使ったメノウの得意な遠隔魔法はすべて封じられた事を意味する。
使えるのは接近戦による物理攻撃か、物理攻撃を融合させた魔法剣による攻撃のみ。
しかし、メノウの剣技は、素人以下である。
そしてデュラハンは彷徨える古の騎士の亡霊である。メノウに勝てる訳がない。
デュラハンの後ろで、その魔物を召喚した暗黒魔導士がほくそ笑む。
そして、洞窟の壁と融合して姿を消した。
しかし、ショックを受けたメノウにはもはや魔導士を追う気力は残ってなかった。
デュラハンが剣を振り上げ迫って来る。
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