第5話 トラップ
転移トラップの目的は、パーティーを分断して少数を孤立させる事だ。
1人や2人の時に魔物に襲われると、当然窮地に陥る。
また、そこに修道士などがいないと、魔除けの魔法など魔物に気づかれにくくする魔法などが使えなくなる。
多少のケガやダメージなら、ポーションや回復魔法などで治せるが、大幅にダウンした戦力は合流するまでもとには戻せない。
炎や氷などほかの攻撃魔法が発動するトラップよりもよっぽど恐ろしいトラップだ。
エレスたちは大丈夫だろうか?
いや、忘れてはならないのはエレスは元王族の血統以前にトップレベルの魔法剣士なのだ。
しかも、彼女には王国の精鋭の騎士が3人ついている。
そう簡単にはやられないだろう。
むしろピンチなのは私たちだ。
私たちは今、2人しかいない。
はやくエレスたちに合流しなければ。
草原を突き進むと、巨体なカタツムリの魔物ブルーエスカルゴが20匹、巨大なチョウの魔物レッドバタフライが20匹、さらにイエローラビットと呼ばれる巨体なウサギの魔物が20匹あらわれた。
魔法具・風の腕輪を装備している私は、風の魔法エアロの風圧で接近してきた敵を吹き飛ばす。
風の魔法具を装備している理由は、風の魔法の風圧で敵を吹き飛ばして、敵との相性のいい魔法具と精神を接続する時間を稼ぐためである。
風の魔法で吹き飛ばせなかった敵は、空手や柔道などの武術で対応する。
私は飛んできた巨大ウサギをぶん殴る。
さらに4匹飛んできたウサギを、メノウが雷の魔法、サンダーで撃ち落とす。
魔法具と精神の接続が完了した。
私が現在装備している魔法具は、
1つ、肉体や運動能力を強化できるスピリトゥスの腕輪
2つ目が、風の魔法具である。
私はスピリトゥスの腕輪は装備したまま、風の魔法具の装備を解除し、変わりに炎の魔法剣を装備する。
そしてもう一つの魔法具は、やはり剣の魔法具、氷の魔法剣を装備した。
魔法剣を二刀流で装備する。
その理由は、スピリトゥスの指輪を含めて、接近戦での戦いを重視して、強化するためである。
遠距離攻撃が得意な魔法使いのメノウとの連携を生かすため、接近戦での能力を全振りで強化させたのである。
私は巨大カエルを炎の剣で、巨大なチョウを氷の剣で次々と斬りつけていく。
巨大カエルが炎の剣で燃える。
バタフライが氷の剣で凍りつく。
特に弱点のない巨大ウサギはスピリトゥスで肉体強化された私の華麗な蹴り技で蹴り飛ばす。
メノウも後方から炎や氷などの魔法で援護を続けてくれた。
「次々と魔物を倒していく。余裕だわね!?
エレ!!」
そう言って後ろを振り返ると、メノウが杖でラビットをたたいているのが見えた。
杖でラビットを連打している。
あんな雑魚ウサギを倒すのに、こんなに時間がかかるとは。
弱い。あの魔法使い、力が弱い。
魔法使いは冒険者パーティーの中でも力が弱いと言われているが、想像以上に弱い。
おそらく遊撃部隊などの王国の軍隊に所属するパーティーは、5、6人のメンバーでチームを組む。そのためそれぞれの得意分野や得意な能力を中心に強化して、連携を取って戦う事でお互いの弱点をカバーしあうのだろう。
この戦略はメンバーがそろった万全の状態なら、最大限威力を発揮するはずだった。
だが、今回は予想外の自体が起きパーティーの真価が発揮される前にメンバーが分断された。
どこかの誰かが( 私か )転移門トラップの魔法を発動させたからだ。
遠隔魔法が得意と言う事は、基本的に接近戦には弱いという事だ。
巨大カエルが口からムチのように舌を伸ばした。
その舌がメノウの杖に絡みつく。
そして、その杖をカエルに取られてしまう。
そして、無防備のメノウにウサギが体当たりをする。
「キャッ!!」
メノウは尻もちをついて倒れてしまう。
メノウが目を開けると、今度はバタフライが細長い口を伸ばしてメノウめがけて空中から襲いかかる。
私は氷の魔法剣をバタフライめがけて投げつける。氷の剣で串刺しになり、バタフライは凍りついて落下する。
私は全速力でメノウの方へと走りながら、やはりメノウに飛びかかるフロッグに炎の剣を投げつける。
炎の剣で串刺しになった巨大カエルは燃えながら落下する。
最後にジャンプした巨大ウサギに私は飛び蹴りを喰らわせた。
巨大ウサギは岩に激突する。
私はバタフライとカエルに刺さった剣を抜くと、メノウを守りながら残りの魔物たちを魔法剣で斬っていった。
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