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第4話 王国と帝国

第28話 王国と帝国

王国と帝国の戦いが始まった。

南の平原で激突した両者は、そこから一進一退の攻防を続けたが、騎士王子カインら王国騎士団の奮闘で、次第に戦況は王国有利に傾きかけたかと思えた。

しかしー、

「 西側のダンジョンから、大量の魔物が溢れ出し、王国に向かっている?」

「そう、ダンジョンの入口はこの地域には無数にあるけれど、そこから一斉に魔物が出現して王国を目指して侵攻して来ているわ。」

 これは、おそらく帝国の仕業だろう。

 ダンジョンの下層から魔物を誘導し、地上に送り込んでいる。

 地上に溢れ出た魔物は、人間を襲うため、近くの都市や街を襲う習性がある。

 王国へと侵攻しているのはダンジョンから一番近い都市があるからだろう。

 だが、こんな事ができるのは帝国の暗黒魔導師の仕業に違いない。

 

 「そこで、王国は、魔物たちの侵攻を阻止するために、ダンジョンの下層へ遊撃隊を複数派兵するわ。」

  ついにこの時が来てしまったか。

 私たちが、帝国軍と戦う時が。

 そして、人間と戦う時が。

 ダンジョンには、無数の魔物が存在する。

そのため、軍隊を送り込んで制圧しようとすると、その魔物たちに気づかれて襲われやすくなる。

そのため数名の少数精鋭のパーティーでダンジョンに侵入し、そして魔物たちを誘導する帝国の魔導師を撃つ。

 ダンジョン攻略部隊は、全部で6つ。

1つの部隊につき5、6人のメンバーで編成される。

 ダンジョン攻略部隊は、それぞれ比較的魔物の出入りの少ない小さめの入口を通ってダンジョンの深層部へと向かう。

 なるべく魔物に発見されるのを避けるため、それぞれ別の入口からダンジョンへ侵入する。

 遊撃部隊の一員である私とエレスも、その攻略部隊へと組み込まれた。

  

 私たちは、王国の騎士や魔法使いなどほかのパーティーメンバーとともに、ダンジョンの洞窟を通っていく。

   

 剣を持った人型の蜥蜴の魔物、リザードマンが8匹あらわれた。

  王国の騎士たち3人は剣や槍などの武器で応戦する。

  後方からは、エレスや王国の女性魔法使い、メノウの炎と氷の魔法が放たれる。

 私は周囲に気を配りながらその戦いを観察していた。

 もしかしたら、魔物以外にも帝国軍の騎士や魔法使いなどがどこかに潜んでいるのかもしれない。

  王国の攻略部隊は、私が魔法具と意識を接続している間に簡単にリザードマンを倒してしまった。

  「 なかなかやるわね。メノウ 。 」

「ありがとう。マリー。」 

 「さすが王国の魔法使いね。後方支援はあなたに任せたわよ。」

 私は馴れ馴れしくメノウの肩を叩く。

  その時、地面が急に光り輝き、魔法陣がそこに出現する。

「 えっ!?」

何が起こったの?

そう思った瞬間、私とメノウはダンジョンの下層へと転移した。

 

 「うううっ、痛たたた」

 空間転移した私たちは、地面に落下して倒れた。

  そこはダンジョンの下層らしく、魔界の草原が広がっていた。

 さっき私たちが、いや私が踏んづけたのは、どうやら転移門とかいうヤツらしい。

 おそらく帝国の仕掛けたトラップだ。

 転移門トラップの魔法は、相当高度な魔法だ。さすが、帝国の暗黒魔導師恐るべし。

 魔物がどこに潜んでいるのかもわからないので、私は慌てて立ち上がる。

 メノウも杖をついて立ち上がった。

「大丈夫? 」「ええ。」

 「ちゃんと足元は見ないと駄目よ。」

そう言って、私はあたかもメノウがトラップ魔法を踏んづけたかの言い方をした。

  上手く行けば、責任転換できると思ったのだ。

 「転移門踏んだのは、あなたでしょう?」

 メノウがナメクジを見るような軽蔑した目で、私を見てきた。

 駄目だ。気がついていたか。

 さあ、先へ行きましょう。

 私は何事もなかったかのように先へ進んで行く。

 


 

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